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【宗派解説】日蓮宗とは|開祖・日蓮聖人や教え、仏壇や位牌、仏事作法を分かりやすく解説

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こんにちは! 仏壇・墓石・寺院仏具の素心(そしん)加古川店の粟生密有あわおみつゆうです。

いつも素心のブログを読んでくださり、本当にありがとうございます!

宗派解説シリーズ。今日お話しするのは「日蓮宗」についてです。

「うちは代々、南無妙法蓮華経のお題目を大事にしてきたんや」
「日蓮さんのあの力強いお姿が好きでねぇ」

そんなお声を伺うたびに、「ああ、日蓮聖人ってスゴイお方だったんだなあ」と思ってしまいます。

でも、一方で「日蓮宗の作法が分からない」「仏壇はどのように飾ったらいいの?」と悩まれている方も少なくありません。

そこで今回は、わたくし粟生が、日蓮宗の教えや日蓮聖人について、さらにはプロの仏壇店として、日蓮宗の仏壇や仏具の基本的な祀り方まで、しっかりと解説させていただきます!

どうぞ最後までお付き合いください。

日蓮宗とはどんな宗派?

まずは、日蓮宗が大切にしている「核」の部分からお伝えしますね。

すべては『法華経』にあり!

日蓮宗を語る上で絶対に欠かせないのが『法華経』というお経です。

法華経の正式名称は『妙法蓮華経』。

「妙法」とは「これ以上にないすばらしい教え」の意味。

「蓮華」とは蓮の花のことです。

蓮は、泥池から芽を出しながらあんなにもきれいな花を咲かせることから、苦しみの世界にあっても清らかに生きようとする仏教を象徴する花として知られます。

つまり法華経には、「どんなに苦しい泥沼のような現実の中でも、正しい教えを信じて生きれば、誰もが必ず自分らしく、清らかな幸せの花を咲かせることができる」という、最高の希望が込められているんです。

蓮は、仏教を象徴する花です。

ちなみに法華経と言えば、天台宗の解説記事の時にお伝えした通り、天台宗の開祖である最澄さんが最も大切にされたお経でもあります。

比叡山で修行をした日蓮聖人は「数々の仏教の教えの中でも法華経が一番すばらしいんだ!」と鎌倉時代に生きる人々に説き、それが時代を超えていまにもつながっているんですね。

南無妙法蓮華経の「お題目」

日蓮宗が大事にしていることばに「南無妙法蓮華経」があります。これを「お題目」と呼びます。

「南無」とは「帰依します」「お慕い申します」という意味ですから、「南無妙法蓮華経」とは「法華経に帰依します」という誓いのことばと言えるでしょう。

日蓮宗のお檀家さんのおうちに営業に訪問した時、「お上人(住職)と一緒にお題目を唱えていると、なんだか元気が出るんですわ」と話されていたのを思い出します。

お題目には、単にことばを唱えるだけでなく、音や響きそのものに、私たちの心を浄化する力、パワーやエネルギーを引き出す力があるのかもしれませんね。

日蓮宗のお経はにぎやか!

日蓮宗のお経はにぎやかなのが特徴です。

日蓮宗では「団扇太鼓」を「ドンドン!」と叩きながらお題目を唱える姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

また、「木柾」と呼ばれる円形の仏具を叩きながら、「カンカン」と甲高い音を出しながらお経やお題目を読みます。

これらは、身体全体を使って仏さまの世界に没入し、心の中の迷いを吹き飛ばすためのすばらしい工夫なのでしょう。

開祖・日蓮聖人は、情熱の塊のような方

日蓮宗を開いたのは、鎌倉時代に活躍された日蓮聖人です。

とても情熱的で細やかな人柄だったと伝えられる日蓮聖人は、当時からたくさんの弟子に慕われ、いまも熱烈なファンが絶えることのない、日本仏教界のスターです。

命がけの生きざま

日蓮聖人が生きた鎌倉時代は、地震や飢饉、さらには他国からの襲来など、不安だらけの時代でした。

そんな中、日蓮聖人は時の権力者に対して「間違った教えに頼っているから国が乱れるのだ! 正しい法華経の教えを広めることこそが、国を安らかにする唯一の方法だ!」と、命がけで直言しました。これが有名な『立正安国論』です。

日蓮聖人のまっすぐさ、激しさをよく思わない勢力もいたことから、何度も命を狙われたり、島流し(佐渡流罪など)に遭ったりと、その生涯は想像を絶する苦難の連続だったそうです。

それでも、日蓮聖人は決して屈することなく、法華経の布教と、弟子の育成にその生涯をささげたのでした。

「お祖師さま」と親しまれる理由

こうした激しいイメージのある日蓮聖人ですが、一方で、お弟子さんの一人ひとりに宛てたお手紙などを読むと、とっても細やかでやさしい人柄が伝わってくることでも有名です。

「お腹を空かせていませんか?」「奥様を大事にしてくださいね」などと、あたたかいメッセージがたくさん残っているんです。

特に、法華経の「男女問わず誰もが平等に仏に成れる」という教えを大事にしていることから、女性へのやさしさが際立っている一面も。

だからこそ、令和の現代でも、信徒の方々から「日蓮さん」や「お祖師さま」と親しみを込めて呼ばれているのかもしれませんね。

日蓮宗の仏壇・仏具

さて、ここからは仏壇屋さんの腕の見せ所!

日蓮宗のお仏壇やお仏具について、解説していきましょう!

日蓮宗のご本尊は、奥から「三尊の掛軸」「三宝尊」「日蓮聖人」の順に並びます。

ご本尊は「大曼荼羅」

日蓮宗のお仏壇の最大の特徴は、中央に祀るご本尊「大曼荼羅」です。

他の宗派では、「大日如来」や「阿弥陀如来」など、仏さまのお姿が描かれた掛け軸や仏像をお祀りしますよね。

ところが日蓮宗では、筆で書かれた文字を掛軸にしてお祀りします。これは、日蓮聖人が法華経の世界観を筆文字で表現したものなのです。

画像をよく見てみると、中央に大きく「南無妙法蓮華経」と、そのまわりには数々の神仏の名前が書かれているのが分かります。

日蓮宗の「大曼荼羅」。「法華曼荼羅」とも呼ばれます。

両脇と前段の配置

ご本尊の「大曼荼羅」の両脇は、向かって右に「鬼子母神」、向かって左に「大黒天」をお祀りします。

■ 鬼子母神
子供を守り、悪いものを退けてくれるとっても頼もしい神さま。日蓮宗では「法華経を守る神さま」として大切にされています。

■ 大黒天
日蓮聖人ご自身も、大黒天を深く信仰されていました。私たちが安心してお題目を唱えられるように、生活の基盤をどっしりと支えてくださいます。

中央が大曼荼羅、右が鬼子母神さま、左が大黒天さま。日蓮宗のご本尊の基本形です。

そして、その手前に「三宝尊」、さらにその手前に日蓮聖人の仏像を置くのが基本形です。

日蓮宗特有の仏具

ここでは、他の宗派ではない、日蓮宗特有の仏具をご紹介してまいります。

■ 三宝尊

日蓮宗独自のお祀りの方法で、中央に「南無妙法蓮華経」と書かれた宝塔、向かって右に釈迦如来さま、左に多宝如来さまが並びます。

日蓮宗において「三宝」とは、仏(釈迦如来)、法(法華経)、僧(日蓮聖人)とされていて、これを象徴するものとして三宝尊が置かれるのです。

三宝尊。宝塔・釈迦如来・多宝如来の3つが描かれるのは、法華経の中の『見宝塔品第十一』で描かれるシーンに由来しているとされています。大地から巨大な宝塔が出現し空中に浮かんでいくという、法華経の中でも最もドラマティックなシーンの一つです。

■ 木柾

読経や唱題(南無妙法蓮華経をお唱えする)の際に、打ち鳴らしてリズムを整えるための仏具です。中が空洞になっており、「カンカン」と甲高い音が鳴るのが特徴です。

■ 朱塗りの仏具

日蓮宗では、伝統的に朱塗りの仏具を用います。

朱塗りの「高坏」。お供え物をお乗せする仏具です。

朱塗りの「仏膳」。ごはんや汁物などの精進料理をお供えします。

日蓮宗の位牌と法号

日蓮宗では、戒名のことを「法号」と呼びます。

日蓮宗の位牌の特徴は、以下の通りです。

●冠字として「妙法」が入る
●男性の場合「日」の文字が入る
●女性の場合「妙」の文字が入る

ただし、お寺によっては「日」や「妙」をつけられないところもあるようです。

日蓮宗の数珠

日蓮宗の数珠は、他の宗派と比べてもかなり個性的です。
特徴は、房(ふさ)の数! 左右で「2本と3本」に分かれています。

これには意味がありまして…

2本の方は「お釈迦さまと多宝如来」
3本の方は「三宝(仏・法・僧)」や「身・口・意」

……を表しているなど、深い意味が込められているのだそうです。

持ち方も独特で、右手の中指に2本房の方を、左手の中指に3本房の方をかけて、一度ねじってから合わせるのが正式な作法です。

お線香の数は「1本」または「3本」

日蓮宗でのお線香は、基本的には1本を立てる、あるいはお寺さまの指導によって3本を立てます。

お焼香も基本は3回。仏・法・僧の三宝にお供えするという意味ですね。

日蓮宗に関するよくある質問 Q&A

最後に、日蓮宗に関するよくある質問にお答えします。

Q 日蓮宗はご本尊としてお祀りするものが多い。小さい仏壇に入らない場合はどうしたらいい?

たしかに、この記事でもご紹介したように、「掛軸」「三宝尊」「日蓮聖人のお仏像」と、これらを全て並べようとすると、それなりの広さが必要となります。

最近人気のコンパクト仏壇の場合、大曼荼羅、鬼子母神さま、大黒天さまの3つの掛軸だけでも良いとされています。

Q 日蓮宗専用数珠じゃないとダメ?

必ずしも、日蓮宗専用のお数珠じゃなくても問題ありません。どの宗派でも使える略式数珠で礼拝されたらよいでしょう。

Q 「南無妙法蓮華経」は何回唱えればいい?

回数に決まりはありませんが、一般的には3回(三唱)、または10回(十唱)など、ご自身の習慣やお寺の指導に合わせます。大切なのは「一心に唱えること」そのものです。

おわりに

日蓮宗のお話、いかがでしたでしょうか?

日蓮聖人には、信徒の四条金吾に充てた有名なことばがあります。

「蔵の財(たから)よりも身の財、身の財よりも心の財第一なり」

蔵にあるお金や財産よりも、健康な体を。それより何よりも豊かな人間性や徳や信念こそが、一番の宝物なんだよ、という意味です。

日蓮宗の教えのすばらしい点は、私たちの「心」を一番大切にしよう、そして私たちが生きている今この場所で幸せになろう、と説いている点ではないでしょうか。

日蓮宗については、素心のWEBメディア『こころね』で配信されている「お坊さんに訊く宗派シリーズ」の中で、市川町・蓮泉寺の安住住職、たつの市・常照寺の谷口副住職にくわしく、そして分かりやすく語っていただいています。

ぜひこちらもチェックしてみてください!

『お坊さんに訊く日蓮宗【宗祖編】“激しさ”だけでは語れない。日蓮聖人の優しさと賢さと心強さと』はコチラから!

(左)蓮泉寺の安積尚志住職 (右)常照寺の谷口慈晃副住職

姫路・加古川・高砂の素心各店では、日蓮宗にピッタリなお仏壇やお仏具をご用意しています。日蓮宗でお困りの方はどうぞお気軽にご来店ください。

皆さまの毎日が、蓮の花のように清らかで力強く咲き誇りますように。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう。 素心加古川店の粟生でした!

出演:粟生密有(素心加古川店)
執筆:玉川将人(素心メディア事業部)