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2022.04.20

ペットのお骨の行き先。お墓・納骨堂・永代供養・おうちでの供養|安心できるペット供養完全マニュアル(後編)

ペットのお骨の行き先。お墓・納骨堂・永代供養・おうちでの供養|安心できるペット供養完全マニュアル(後編)

 

だいじな家族の遺骨。
粗末にはできないけれど
ずっと手元に置いておくこともできない…

ペットの遺骨をどのようにすべきかで
悩んでいるすべての方へ。

安心できるペット供養完全マニュアル。
後編は
ペットのお墓や供養について
さまざまな方法をご紹介いたします。

お墓、納骨堂、永代供養。
自宅で供養できるさまざまなアイテム。

あちらの世界に旅立ったあとも
ペットとあなたが
あたたかくつながっていられる方法が
ひとつでも見つかれば、嬉しいです。

播州から日本全国へ
ペットを愛するあなたのために。

1.ペットのお墓 3つの方法

ペット供養でまず考えなければならないのが、「お骨をどうするか」ということ。しばらく自宅に置いておきたい人もいれば、早くしかるべき場所に埋葬してあげたいという人も。「自分たちがお参りできなくなったらどうしよう」といった、遺骨にまつわる悩みは人もペットも変わりません。

現実的な方法として挙げられるのが、「お墓」「納骨堂」「永代供養墓」です。

(1)お墓

お墓とは、個別の区画に石塔を建て、その中にペットの遺骨を埋葬します。好みの色、好みのデザイン。彫刻文字も自由に選べます。他のペットと一緒にならない、自分たちだけのお墓にお参りができるのが利点です。

カラフルで自由なデザインの墓石が並ぶ。
(撮影協力・神戸動物霊園)

(2)納骨堂

納骨堂は「室内型のお墓」とも言える場所。ロッカー状に並ぶそれぞれの区画には、ペットの遺骨と遺影、あふれんばかりに置かれたお供え物や思い出の品に、ご家族の思い入れが感じられます。

室内型の納骨堂
(撮影協力・神戸動物霊園)

(3)永代供養墓

永代供養墓とは、他のペットの遺骨と一緒に埋葬し、永代にわたって仏教寺院が供養してくれるお墓のこと。多くの動物霊園では定期的に僧侶を招いて合同法要を執り行います。お参りの人がいなくなったあとも永代にわたって供養してくれることが、安心感につながります。

霊標に掲げられたプレートにはペットの写真や名前やメッセージ。見ているだけでほっこりとした気分になる。
(画像提供:加西動物霊園)

年2回の法要祭には毎回400名以上ものお参りがある。現在はコロナ禍のため中断中とのこと。
(画像提供:加西動物霊園)

お寺の境内に設置された動物専用の永代供養塔
(撮影協力:常照寺)

姫路市・名古山霊苑の生類慰霊碑には市民のお参りが絶えない

2.お骨を返してもらわない場合

ペットのお骨。そもそも返してもらわなければならないものなのでしょうか。前編でも触れた通り、播州地域の公営火葬場の場合、遺骨は市が引き取るケースが多く、民営の動物霊園でも家族が希望すれば霊園側が引き取って永代供養してくれます。

「遺骨を粗末にすることでかわいそうじゃないかな」「バチあたりかな」などと迷われている方は少なくありませんが、『こころね』は、「お骨が手元になくても、ペット供養はきちんとできる!」とお伝えします。

遺骨を手元に置いていようと、市の慰霊碑に埋葬しようと、大切なのは「想う心」であることに変わりはありません。あなたがペットのことを想う時、どこにいたってペットはあたたかい気持ちに包まれるはずです。

姫路市の名古山霊苑内の「生類慰霊碑」にお参りする人たちに話を聞いてみました。

名古屋市の動物保護団体に勤務している野田実佑さんは、「今日が“ニャ太郎さん”の三回忌。帰省のたびに家族や友人と必ずここにお参りに来てます」と、友人とともに愛猫に花束をお供えします。名古山の集合火葬や合同埋葬について野田さんは「斎場の人はとても丁寧でしたし、ここに来ればいつだって会える。お骨がなくても安心しています」と話します。

愛猫に花束を供える野田さん
友人の加藤さん(左)と左川さん(右)も一緒にお参り。

その他にも、

「いろんなペットちゃんと一緒にいるからにぎやかにやってるやろな」
「市内によく来るのでその都度お参りに来ています」

などと、自宅に遺骨がなくてもきちんとペットと向き合えている声が聞かれました。遺骨をどうしても引き取れないという方は、無理をせずに自治体にお願いしましょう。

名古山霊苑では、生者も死者も人も動物もおだやかに憩っている。

3.自宅でのお祀り

リビングの一角にメモリアルコーナーを設けているのは姫路市在住のHさん。愛犬のミニーちゃんが亡くなった時、遺骨を引き取って自宅の庭に埋めようか、それとも市に預けようかと家族と話し合った結果、後者を選びました。

「こうして毎日思い出の写真に向けて手を合わすたびにつながりあっていることを感じられ、安心しています」と、遺骨がなくても手厚い供養ができていると話します。

Hさんは毎朝ミニーちゃんにお花とお線香とドッグフードをお供えしている。

遺骨を引き取るか、引き取らないか。そのどちらを選んでも、ペットを悲しませることにはなりません。家族で話し合って、納得できる方法を選ぶことが大切です。

4.いつも一緒に。自宅でお祀りできるペット供養アイテム

遺骨を持って帰ってきたものの、自宅でどのようにお祀りすればいいのか分からないという人も多くいるはずです。

自宅での供養は飼い主さんの心が落ち着く形で充分です。Hさんのように遺骨や写真を置いて、お花や食べ物のお供えをするのがオーソドックスです。もちろんお線香やローソクを灯しても構いません。私は毎朝、お線香を1本立てて、骨壺の房を撫でて、合掌しています。

素心各店では、ペット供養をもっと身近にできるためのアイテムを多数展示。ミニ仏壇やメモリアルステージ、クリスタルの位牌やモニュメント、骨壺や遺骨の入るペンダントまで、あなたにあったアイテムで、ペットとの時間を大切にしてあげて下さい。

ペット用のミニ仏壇。

クリスタル製のモニュメント。レーザー彫刻で生前の姿やメッセージを刻印できます。

遺骨の入るペンダント。だいじなペットといつも一緒にいられます。

5.ペットの供養 よくあるQ&A

お墓や自宅でのお祀りなど、ペットの供養でよくあるギモンに、『こころね』が心を込めてお答えします。

家のお墓にペットの遺骨を入れてはダメ?

この答えに対する明確な答えは、法律的にも、仏教的にも、示せていないというのが実情です。

『墓地、埋葬等に関する法律』では「死体」の埋葬や火葬などについて規定していますが、ここでいう「死体」とは「死亡した人の身体」のことを指し、動物は含まれていません(『図解六法』より)。

一方仏教の世界では「六道」という考え方があり、人間が生きる「人間道」と、動物が生きる「畜生道」を明確に区別しています。そのため人と動物が同じお墓に入ることへの抵抗感はいまだ根強くあります。

特にペットへの嗜好は個人に拠るところが強く、それに反してこれまでの日本のお墓は先祖が入る「家墓」だったため、自分は良くても先祖や子孫がペットの埋葬を望むか、という問題が大きく横たわります。

お寺で動物供養について講演した際も、人間道と畜生道のテーマには大きな関心が集まった。
(撮影協力・正明寺)

しかし近年は、都市圏の民営霊園を中心に、ペットと入れるお墓が徐々に見られるようになりました。兵庫県内を見てみますと、播州地方ではまだまだないものの、神戸市内のいくつかの民営霊園がペットと入れるお墓に着手しています。ただし他の利用者への配慮から、一般墓区画とペット共葬区画を分ける措置が取られています。

将来的にお墓の個人化やペットの家族化がより進むことで、人とペットが当たり前のように同じお墓に入れる日がやってくるかもしれません。

遺骨はいつまで自宅に置いておく?

いつまでという決まりはありませんが、ずっと遺骨が自宅にあることで困ってしまうという人も少なくないのでは?

もしもあなたに万が一のことが起きたら、ペットの遺骨を守る人がいなくなってしまいませんか?そうならないためにもある程度区切りがついたところで霊園やお寺に永代供養してもらうことをおすすめします。

目安として、ペットの三回忌や七回忌などを区切りにしてもよいかもしれませんね。

自宅の中のどこに置いておけばいい?

風水などの方角を気にするのでなければ、自宅のどこに置いても構いません。みんなが過ごすリビング、日当たりや風通しのいいお部屋など、おうちの中で納まりのいい場所でお祀りしてあげましょう。

仏壇の中で一緒にお祀りしてもいい?

まずは菩提寺さまに相談しましょう。仏壇にはそのおうちを守って下さる仏さまやご先祖さまが祀られています。そんな仏さまやご先祖さまを供養して下さる菩提寺さまが「よいですよ」と言えばお祀りしてあげましょう。仏壇の中でなくても、その脇に小机を置いてお祀りする方もいます。

【最後に】ペットは家族。きちんと看取り、供養する覚悟を持って迎え入れること。

記事の最後にとてもとても大切なこと。

ペットは家族です。わが家に迎え入れたならどうぞ最後まで大切に看取り、供養をしてあげて下さい。飼い主さんのモラル、良心に照らし合わせて、尊厳ある形で最期を見送ってほしいのです。

常照寺が発行するペット葬儀のリーフレットには、作者不詳の短編詩『犬の十戒』が記してあります。最後にこちらを引用して記事を終えたいと思います。

あなたと大切なペットが安らかに眠りにつくことができますように。そしてあなたとペットが、いつまでもつながっていられますように。

犬と私の10の約束

1. 私と気長につきあってください。
2. 私を信じてください。それだけで私は幸せです。
3. 私にも心があることを忘れないでください。
4. 言うことをきかないときは理由があります。
5. 私にたくさん話しかけてください。人のことばは話せないけど、わかっています。
6. 私をたたかないで。本気になったら私のほうが強いことを忘れないで。
7. 私が年を取っても、仲良くしてください。
8. 私は十年くらいしか生きられません。だからできるだけ私と一緒にいてください。
9. あなたには学校もあるし友だちもいます。でも私にはあなたしかいません。
10. 私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください。どうか覚えていてください、私がずっとあなたを愛していたことを。

前編がまだの方はこちらから。
「愛するペットの看取りから火葬まで|播州ペット供養完全マニュアル(前編)」


このたびの記事にあたり、取材協力いただい霊園や寺院です。また、お話を聞かせて下さった方々、本当にありがとうございました。

▶神戸動物霊園(神戸市西区玉津町)公式HP
▶加西動物霊園(加西市坂本町) 公式HP
▶常照寺(日蓮宗・たつの市福の神) 公式HP
▶正明寺(天台宗・姫路市五軒邸) 公式HP
▶ペットセレモニーMUKU(たつの市) 公式HP


取材・構成・文 玉川将人

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