こころね

愛するペットの看取りから火葬まで|安心できるペット供養完全マニュアル(前編)

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ペットは家族。

大切な家族であるペットが亡くなった時、
あなたは何をしてあげますか?

『こころね』では
大切なペットを失ったときにすべきことを
分かりやすく解説いたします。

火葬、お墓、供養について
だいじな家族のことだから
元気なうちから考えておきたいものです。

素心は兵庫県の仏壇店なので
主に播州の方向けの記事になりますが
日本全国のペット愛好家も安心できるよう
心を込めて綴りました。

1.忘れてはいけないペットの介護、看取り

2020年10月7日。わが家の家族の一員である黒猫ニュイは、妻のあたたかい膝の上で20年の生涯を終え、息を引き取りました。

「最後は何も食べず、飲まず、時間をかけて体の中のものを外に出しきって、この世界を旅立ってくれました」。

仕事中に妻からのLINE。思わず目頭が熱くなりました。

亡くなる半年前から歩行が徐々に困難になり、前足でエサや水の器をひっくり返す毎日。歩いては頭をぶつけ、あちこちで排泄をするようになり、過ごす部屋を限定して、床にはおねしょシーツを敷き詰めました。最後の数カ月はまさに介護の日々。夜を徹してお世話をした当時が脳裏によみがえります。

「ペット供養」と聞くと、私たちはついつい火葬やお骨やお墓のことを考えがちですが、その前に終末期のペットの介護や看取りがあることを忘れてはいけません。

トイレの粗相、夜泣き、散歩の介助、注射や投薬のために何度も病院に連れて行かなければならないこともあります。老化や認知症は人と同じで私たち家族を悩ませる問題です。

最近では動物介護士という資格や動物向けの介護施設もあります。こうした専門家の手を借りるのも方法のひとつです。

もちろん家庭によって状況はさまざまですが、厳しい介護や看取りがまずあって、その先に葬儀や供養があるということを念頭に入れておくことで、いざという時の備えや心構えとなります。

 

2.ご臨終 まずは身体を冷やす

ご臨終を迎えたら、まずは身体をきれいに拭いて、毛布やタオルで包みます。そしておなかのあたりをドライアイスや保冷剤で冷やします。これは腐敗が進行しやすい内臓部分を冷却することが遺体の保全につながるからです。

ドライアイスはプロパンガスの取扱業者や製氷業のお店などで取り扱っています。「〇〇市 ドライアイス」でネット検索すればすぐに見つかります。

必要量はペットの大きさによって異なります。小型のペット(体重10kgまで)だとドライアイス5㎏、中型のペット(体重25kg未満)だとドライアイス10kgが目安。1度の手当で1〜2日使用できると言われています。ドライアイスの価格の相場は1kgあたり500円程度です。

ドライアイスは約-79℃と超低温です。素手で持つと凍傷を起こしてしまうので軍手を着用するかタオルに巻き込むかなどして扱います。紙状のドライアイスパックに巻かれているものは、取り外さないようにします。直に当てずに、脱脂綿やタオルで包んだ状態でペットのおなかに当ててあげましょう。

急場しのぎでは保冷剤でも構いませんが、保冷剤の温度は約-16℃と、ドライアイスよりも冷却効果が弱いため、可能であればドライアイスの用意をおすすめします。

わが家の場合、保冷剤をこまめに交換することで中2日の火葬まで問題ありませんでしたが、季節やペットの状況などにもよります。念には念を入れておくのがよいでしょう。

また、ご安置する部屋の室温が上昇しないよう気を付けます。夏場であれば冷房を、冬場は暖房を切るなどすることで、ペットの状態を長く維持できます。

3.埋葬か火葬か

亡くなったペットの遺体をどうすべきか。まずは埋葬と火葬の2択に分けられます。

遺体のまま自宅の庭に埋めるという人も少なくありません。ペットの土葬そのものは違法ではありませんが、『こころね』としてはあまりおすすめしません。

遺体のまま土の中に埋めることで腐臭や悪臭など衛生面での懸念が生じますし、動物が掘り起こしに来る可能性もあるからです。

人気がない野山への埋葬も、私有地公有地問わず誰かが所有する土地に勝手に踏み入ることになります。廃棄物処理法や軽犯罪法に抵触する恐れもあるだけでなく、何よりもモラル的に受け入れがたいものがあります。

もしも自宅の庭を希望するのであれば、遺体を火葬してから、焼骨を埋葬するのはいかがでしょうか。腐臭や悪臭、動物の掘り起こしの心配もありません。その場合も、最低でも30cmくらいの深さまで土を掘って、何かの拍子に遺骨が出てこないように気を付けます。人が踏まない場所を選び、小石などの墓じるしを置いてあげてもいいでしょう。

この記事では、火葬をするものとして、マニュアルを次の章へと進めていきます。

4.火葬場の予約・移動

ペット火葬を希望の場合は、すみやかに火葬場に連絡し、予約申し込みをします。

遺体は毛布やタオルで包んで、段ボールや籐のかごなどに入れて運びます。ドライアイスや保冷剤は当てたままで構いません。

また、ペット用の棺も市販されているので、いざという時に備えて事前に購入しておくのもいいかもしれません。

5.火葬場選び

ペット火葬には主に3つの方法があります。「公営火葬場」「動物霊園」「移動火葬車」です。この章では、それぞれの特徴や詳しい情報について解説していきます。

(1)公営火葬場 自治体によって異なる対応。返骨の有無に注意!

公営火葬場の場合、自治体によって対応が次の2つに分かれます。

(1)合同火葬して、遺骨は帰ってこない
(2)個別火葬して、遺骨は家族に返される

播州地域の場合、(1)の合同火葬(他のペットと一緒に火葬)が多いのが実情です。この場合、遺骨は家族に返却されませんので注意が必要です。

ちなみに、『こころね』が各自治体に聞き取り調査したところ、個別火葬と返骨の対応をしてくれるのは次の4か所です。

◆三木市(みきやま斎場)
◆西脇市・多可町(西脇多可広域斎場「やすらぎ苑」)
◆宍粟市(あじさい苑、しらぎく苑)
◆赤穂市(赤穂市斎場)

播州地域の各自治体の動物火葬については、この記事の終盤にまとめていますので、参考にしてみて下さい。

(2)動物霊園 手厚いサービスが嬉しい固定火葬炉

最近では民営の動物霊園も増えており、その多くは専用の火葬炉を保有しています。公営火葬場と異なり、きちんと骨上げをして遺骨を家族に返すのが基本です。最後のお別れや返骨を希望する人におすすめです。

最近の動物霊園は施設も充実。火葬炉はもちろんのこと、さまざまなスタイルのお墓が並びます。個別墓、洋風墓、永代供養塔、さらには屋内型の納骨堂まで完備しています。

第二神明道路「玉津」インター降りてすぐの場所にある神戸動物霊園(神戸市西区)の渡瀬義幸主任は「ペットも家族の時代。どなたもペットへの思い入れが強く、塔婆供養やお供え物もたくさんして下さいます」と話します。同霊園ではお骨になってからのお参りもあとを絶ちません。

室内斎場のお別れ室
(撮影協力:神戸動物霊園)

動物専用火葬炉
(画像提供:神戸動物霊園)

私も愛猫の火葬に利用したのが加西動物霊園(加西市)。自然豊かな落ち着いた環境の中で火葬やお参りができるおすすめの霊園です。

人さながらに愛猫を扱ってくれる同霊園の丁寧な対応には驚きを禁じえませんでした。さりげない所作やあたたかい言葉ひとつが、悲しみに暮れ、馴れないことに戸惑う私たち家族を安心させてくれました。

仏様の祀られる個室で愛猫と最後のお別れをしました。
(画像提供:加西動物霊園)

(3)移動火葬車 火葬技術も進化。自宅やお寺で最後のお別れ

「えっ? 車の中で火葬?」と思う方も少なくないのでは?

ペット供養を語る上で大きな特徴なのが移動火葬車です。

読んで字のごとく火葬炉を搭載した車輌が希望の場所で火葬をしてくれます。住み慣れた自宅で最期を見届けたい人や、「忙しい」「高齢で外出ができない」など、さまざまな事情で火葬場に行けない人に多く利用されています。

「川や海など、思い出の場所での火葬も可能ですが、大半の方は住み慣れたご自宅を選ばれます」と話すのは、たつの市にある「ペットセレモニーMUKU」の平川代表。

近隣住民への迷惑も心配無用とのこと。同社が搭載する最新の火葬炉は2次焼却式で、煙や匂いが外に漏れ出ることがほとんどないそうです。「これまでお客様やご近所の方からのクレームはゼロで、むしろ口コミでご紹介をいただくほどです」と平川さん。

ただ、業者によっては旧式の火葬炉を使用していることもあるようなので、業者選びは慎重に行いましょう。

「MUKU」のペット火葬車(画像提供:常照寺)

移動火葬車の業者とお寺が協力することで、より手厚いペット葬儀が可能となります。たつの市の常照寺(日蓮宗)では、前述の「MUKU」とともに境内でペット葬儀を行います。

お寺には火葬炉がない。一方で公営火葬場や動物霊園では僧侶の読経がない。こうした両者の足りない部分を補いあうことで、より安心してペットを送り出すことができるのです。

まずは本堂でペットの葬儀。厳かなお飾りを前にペットをご安置し、住職による読経。その後は境内に運び込まれた移動火葬車で火葬、そして収骨。希望があればその日のうちに動物専用の永代供養塔への納骨も可能です。

「『法華経』には、生きとし生けるものすべてに仏性があると説かれています。大事なペットの葬儀をお寺でしてもらうことで、仏さまとのご縁をつないでほしいです」と谷口慈修住職。仏さまに見守られながらの葬儀は、きっと旅立つペットを明るく包み込み、飼い主さんの心をやさしくケアしてくれることでしょう。

僧侶による読経と家族の焼香のあとに火葬が行われる。
(画像提供:常照寺)

 

6.播州地域の公営火葬場 総まとめ

公営斎場での動物火葬は、自治体によって対応が異なります。以下を参考の上、詳しくは各自治体にお問い合わせください。

※ここは播州にお住まいの方向け。そうでない方はスルーしてください。

明石市

▶ペットの火葬 〇(提携の動物霊園にて)
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用
持込2~4千円、引取 3~5千円
▶窓口
収集事業課(明石クリーンセンター内)

加古川市

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用
市民 1千円~、市外2千円~
▶窓口
小動物受付事務所(加古川市斎場内)または環境美化センター

播磨町

▶ペットの火葬 〇(提携の動物霊園にて)
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用 5千円
▶窓口
塵芥処理センター

稲美町

▶ペットの火葬 〇(提携の動物霊園にて)
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用  5千円
▶窓口
生活環境課

加西市

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用
市民5千円、市外1万5千円
▶窓口
加西市斎場

三木市(骨上げ・返骨可)

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 〇
▶火葬の費用
集合火葬3,150円、個別火葬 7,500円
▶窓口
みきやま斎場

小野市・加東市

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用
市民5千円、市外1万円
▶窓口
小野加東斎場「湧水苑」

西脇市・多可町(骨上げ・返骨可)

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 〇
▶火葬の費用
集合火葬5,250円、個別火葬10,500円
▶窓口
西脇多可広域斎場「やすらぎ苑」

高砂市

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用
持込2千円~、引取4千円
▶窓口
高砂斎場

姫路市

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用
市民3千円~、市外1万8千円~
▶窓口
名古山斎場

福崎町

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用
市民5千円~、市外1万5千円~
▶窓口
姫路福崎斎苑「こうふく苑」

市川町・神河町

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用
市民3千円~、市外9千円~
▶窓口
市川斎場

たつの市・太子町

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用
市民3千円~、市外9千円~
▶窓口
筑紫の丘斎場

宍粟市(骨上げ・返骨可)

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 〇
▶火葬の費用
収骨あり市民9千円
収骨あり市外2万7千円
▶窓口
あじさい苑(旧山崎町、安富町の住民)
しらぎく苑(旧波賀町、一宮、千種町の住民)

相生市

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用
市民3千円~、市外10割増し
▶窓口
市環境課

赤穂市(骨上げ・返骨可)

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 〇
▶火葬の費用
市民3,500円、市外7,000円
▶窓口
赤穂市斎場

上郡町・佐用町

▶ペットの火葬 〇
▶骨上げ・返骨 ✕
▶火葬の費用  5千円
▶窓口
播磨高原斎場「こぶし苑」

7.ペットの火葬 よくあるQ&A

ここまで、ペットの火葬についてご理解いただけましたでしょうか? では最後に、ペットの火葬でよくあるギモンに、『こころね』が心を込めてお答えします。

Q.どうやって火葬場に運べばいい?

段ボールや籐のかごなどに入れて運びます。底には毛布やタオルを敷き、上からは布団をかけてあげましょう。ぶ厚めの素材は火葬できないため、火葬場で返却されることもあります。

Q.副葬品を納めてもいいの?

副葬品とは、棺の中に一緒に納めてあげる物のこと。大好きだったおやつやおもちゃ、お花、お手紙などを添えてあげると、きっと安心することでしょう。ただし、金属やプラスティックなど、燃えにくい素材のものはNGです。火葬炉の故障の原因になったり、ペットの遺骨を汚してしまう恐れがあるからです。

Q.火葬に立ち会う時の服装は?

平服や普段着で構いません。喪服を着るケースは少ないようです。ただし、大切なペットを送りだす儀式です。華美な服装は控えましょう。

Q.お坊さんに読経をしてもらいたい。どうすればよい?

まずは菩提寺の住職に相談してみましょう。もしも菩提寺がない、あるいは菩提寺では対応できないということであれば、火葬場に相談してみましょう。

Q.火葬の時間は?

ペットの大きさによっても異なりますが、45分から2時間半程度です。

Q.お骨になったあとはどのようにお祀りすればよい?

ペットのお骨は、お墓、永代供養墓、納骨堂、ご自宅での供養など、さまざまな方法があります。

記事の後編では、実際に動物霊園にどのようなお墓や納骨堂があるのか、そしてご自宅でお祀りできる供養アイテムについて、さらに詳しく解説していきます。

後編「安心できるペットのお骨の行き先。お墓・納骨堂・永代供養・おうちでの供養|播州ペット供養完全マニュアル【後編】」


このたびの記事にあたり、取材協力いただい霊園や寺院です。本当にありがとうございました。

▶神戸動物霊園(神戸市西区玉津町)公式HP
▶加西動物霊園(加西市坂本町) 公式HP
▶常照寺(日蓮宗・たつの市福の神) 公式HP
▶ペットセレモニーMUKU(たつの市) 公式HP


取材・構成・文 玉川将人