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2023.11.15

大会実行委員長に訊くH1法話グランプリの歩み【H1法話グランプリ2023】森圭介さんインタビュー(前編)

大会実行委員長に訊くH1法話グランプリの歩み【H1法話グランプリ2023】森圭介さんインタビュー(前編)

 

もう一度会いたいお坊さん
ナンバーワンを決める
日本仏教界最大級のイベント
H1法話グランプリ。

前回大会から
2年の歳月を経て
いよいよ2023年大会が
開催されます。

今大会の見どころを
そして、ここまでの
H1の歩みを
今大会の実行委員長
森圭介さんに
お伺いしました。

エピソードZEROからの歩み

ー 今年もH1法話グランプリの季節がやってきました。今大会の実行委員長を務められる森さんは、2019年に行われた「エピソードZERO」から関わっているとのこと。そんな森さんに、H1のここまでの歩みをお伺いしたいです。

もともと栃木県の真言宗豊山派仏教青年会の研修イベントとして行われたのがH1の始まりです。それを、超宗派のイベントとしてやっていこうと呼びかけたのが須磨寺の小池陽人さん。彼の呼びかけに集まった初期メンバーは15人くらいでした。

― その中に、森さんもおられた?

そうです。でも、実際に集まってみたものの、これまで誰もやったことのないことにチャレンジするわけですから、何から手を付けていいか分からない。これは一度、実験的なプレ大会をしてみなくては、ということで開催したのが2019年に須磨寺で行われた「エピソードZERO」です。

ー なるほど。だからはじめから「エピソードZERO」と銘打っていたのですね。

そうです。「これはプレ大会ですよ」「次に本大会が控えてますよ」ということを予め謳っておこうと。実際にやってみると、場所決め、登壇者探し、審査員の先生のオファー、告知や資金集めなど、やることがたくさんありすぎて、もう大変でした。みんな自坊の法務をしながら実行委員の仕事をしているわけですからね。本番前日のリハーサルなんて、深夜の2時くらいまでやってて、みんな目をバッキバキにしてましたよ(笑)

須磨寺で行われた「エピソードZERO」の模様。450枚のチケットは2日で完売した。(画像提供:実行委員会)

ー この時の登壇者は、どのように決められたのですか?

いわゆる「一本釣り」です。それぞれの宗派で「この人にぜひ!」という方に直接オファーさせていただきました。

ー プレ大会をやってみたことで、「これはいける!」という手ごたえはありましたか?

はい。大きな可能性を感じました。宗派を超えた法話会なんてこれまでありませんでしたし、何よりも聴衆の熱意、聴く姿勢がすごかったです。みなさん前のめりですし、メモを取りながらという方もたくさんおられました。普段の法話会ではなかなか見られない光景です。

ー 世間からの反響はいかがでしたか?

ぼくのまわりだけでもたくさんの人から「動画を観たよ」「おもしろかった」との声が寄せられましたし、それはYouTube動画の再生回数からも明らかです。お坊さんの話って世間の人々に求められているんだなあと肌で実感しました。仏教のすそ野を広げることを目的の一つとしていたので、この手ごたえは嬉しかったですね。

ー 仏教界内部からの反応は?

少なからずインパクトを残せたのではないかと思います。グランプリになられた安達瑞樹さん(兵庫県・長楽寺住職)が、H1のあとに引っ張りだこになったことが、そのことを物語っています。これまでのお寺の法話会では見られない、法話の新たな可能性を示すことができたのではないかと思います。

「エピソードZERO」でグランプリを受賞した安達瑞樹さん(画像提供:実行委員会)

奈良カルチャーの聖地「なら100年会館」

ー そしていよいよ2021年大会にむけて始動。場所は「なら100年会館」となりました。どうして奈良の地が選ばれたのですか?

実はエピソードZEROも、はじめから須磨寺でと決まっていたわけではなく、いろんな場所を探してて、「でっかいホールもええなあ」みたいなことも言ってたんです。そんな中、たまたまぼくの知り合いに「なら100年会館」に勤めている友人が、ちらっと打診していたのを覚えてくれていました。エピソードZEROのYouTube動画を観た直後に連絡があって、「めっちゃおもしろいやん。うちでやろう」と。

ー 森さんのご縁だったのですね。

ありがたいことです。また、奈良は日本における仏教発祥の地です。宗派を超えた法話イベントをするのに、こんな格好の場所はありません。

― 奈良開催は早くに決まったのですか?

早かったですよ。100年会館さんが共催を提案して下さったことで運営面で大きな助けとなりました。仏教発祥の地という点においても奈良で開催することには大きな意義がある。あと、奈良の人間にとって、100年会館はあこがれの場所なんです。かっこいいアーティストやバンドが来るときはだいたいここで、いわゆる奈良カルチャーの聖地です。そんな場所で仏教イベントが開催される、しかもぼくの手も加わるのだと思うと、大いに興奮します(笑)

なら100年会館で行われた2021年大会の模様。コロナ禍の開催のため定員1500名のところ、750名に限定。チケットは完売した。

ー 期間が1年空いたのは、入念な準備のためですか?

いや。本当はエピソードZEROの翌年の2020年に開催するつもりでしたが、新型コロナウイルスのため、延期を余儀なくされてしまいました。それでもH1の流れを絶やしたくなく、法話動画をWEB上に集める『法話巡礼33』という取り組みをしました。

ー 2021年大会からは予選会が設けられました。これもはじめての取り組みですよね。

そうなんです。さすがにぼくらがお坊さんを審査するってことはできないので、超宗派の選考委員会を組織しました。釋徹宗先生(如来寺住職・相愛大学学長)に大会顧問になっていただき、密教系、浄土系、禅宗系、法華系を代表する僧侶の方々、そして在家でありながら仏教に精通されている思想家の内田樹さんにも加わっていただきました。

ー 選考委員だけでなく、本大会の審査員も豪華な方々でした。

いとうせいこうさん(作家・アーティスト)、クリスチャン・モリモト・ヘアマンセンさん(キリスト教宣教師)、後藤正文さん(ロックバンド・ASIAN KUNG-FU GENERATION)、露の団姫さん(落語家・僧侶)と、釋先生とのつながりがなければなしえない方々にご協力いただきました。

審査員には各界の著名人が名を連ねた。

ー なら100年会館という場所、厳選なる予選審査、そして審査員の豪華な顔ぶれ。大会の格が一気に引き上がった感があります。

やるからには本格的に、誰もが納得する、カッコいい舞台を用意するのが僕らの役目だと思っていますから、そういったおことばは大変嬉しく思います。

こだわったのは「カッコいいステージ」

― 2021年大会は、圧巻のオープニングステージから始まりました。

和太鼓の音が鳴り響く中、奈良市立飛鳥中学校アートパフォーマンス部のみなさんに、ステージ上に広げられた紙に大きく「釈迦如来」と書いていただき、その文字に対して入仏の儀を営みました。このイベントが仏さまに見守られながらの法話会であることを示すためです。

ー 飛鳥中学校への依頼も、森さんが?

はい。たまたまうちのお寺がやっている寺子屋に来ている子たちがアートパフォーマンス部だったんですよ。顧問の先生にお願いしてみると、「コロナ禍で生徒たちはパフォーマンスの場がない。だから逆にありがたい」と喜んで下さいました。

ー 太鼓の演奏、書道パフォーマンス、入仏の儀、まさに圧巻のステージでした。エピソードZEROの時もそうですが、「かっこいいステージ」へのこだわりが見られます。

そうですね。カッコよくしたいというのは、いまもずっと思っていることです。

─ それは実行委員のみなさんの総意ですか?

いや、ぼくの嗜好に引っ張られちゃっているところが結構あると思います(笑)

オープニングで行われた書道パフォーマンス

ー それはエピソードZEROの時からですか?

そうですね。でも、100年会館の規模になるとさすがにぼくらの手には負えず、プロの舞台監督の方にも手伝っていただきました。

ー 当日の森さんのお仕事は?

法話をゆっくり聴く時間なんてありません。何をしていたか思い出せなくて、2回線のイヤホンマイクを両耳につけて、とにかく走り回っていました。でもね、オープニングだけはしっかりこの目で見ようと、3階席の一番うしろから、全体を見渡しましたよ。

ー 森さんの作った音楽、森さんの手によるステージ、森さんのご縁による中学生たちのパフォーマンス。どのような想いでご覧になっていましたか?

やっとここまで来たんだなという感動と安堵感にひたっていました。自分にとってのカッコよさや美学みたいなものを凝縮していたので、僧侶として、実行委員としてだけでなく、人間・森圭介としても、感慨深いものがありましたね。

ー 今年はどんなオープニングステージになるのでしょうか?

それは、ぜひとも当日に会場まで足を運んで、ご自身の目で確かめていただきたいですね。

舞台裏のお坊さんの姿

ー エピソードZERO。2021年大会。それぞれを通じて印象的なお坊さんや法話ってありましたか?

特に「この人が」「この法話が」というものはなく、むしろみなさんそれぞれが個性や宗派の色を出していました。優劣なんてつけられず、すべてが素晴らしいというのが正直なところです。

ー ステージ裏で、お坊さんたちはどのように過ごされるのですか?

登壇者の楽屋はひと部屋を共有してもらったので、お坊さん同士でいろいろお話しされていましたよ。グランプリとは銘打ってますが、競い合うことが目的ではありませんからね。とはいえ、本番直前に壁に向かって練習している姿など、まさに『M1グランプリ』の漫才師の姿をほうふつとさせます。

ー なごやかな中にも、独特の緊張感が走っているのですね。

ああいったお坊さんの姿を見ると、絶対に損をさせちゃいけないなと強く思います。これまで前例のない法話イベントに覚悟と勇気をもって挑戦して下さっているわけですから、こちらとしても、存分に輝いていただくためのカッコいいステージを用意しなければなりません。


後編では、H1法話グランプリに込める森さんの想い、そして法話が私たちに何をもたらせてくれるのかについて、さらに深くお話しいただきました。

後編はこちらから。


▶H1法話グランプリ公式サイトはこちらから。

▶森さんが住職を務める阿弥陀寺(奈良市)の公式ウェブサイトはこちらから。

▶素心『こころね』による2021年大会レポート記事
『762組もの仏縁がつながる日-「H1法話グランプリ2021」現地レポート』

▶『こころね』によるH1法話グランプリ2023特設ページです。大会当日に向けてH1関連の記事を続々配信中!下のバナーをクリックして下さい!(※バナーの訂正:開催日は正しくは2023年12月2日です)


取材・撮影・文 玉川将人

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