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2026.04.21

姫路が誇る圧巻の龍神堂で”運気”の上げ方を学ぶ|善寿寺住職・小川由晃師ロングインタビュー(前編)

姫路が誇る圧巻の龍神堂で”運気”の上げ方を学ぶ|善寿寺住職・小川由晃師ロングインタビュー(前編)

姫路市豊富・砂川村
閑静な住宅街に
400年を超える歴史を持つ
一軒のお寺があります。

曹洞宗・善寿寺。
小さな境内にかかわらず
毎月の大祭には200人近くが詰めかけ
年に一度の大祭ともなれば
全国各地から参拝者が集まる
知る人ぞ知るお寺です。

その魅力は
境内で圧倒的な存在感を放つ
龍窟を再現した「龍神堂」。

そして
会うだけでエネルギーが満たされる
住職のパワフルなお話。

まさに、神仏と人が一体となって
元気を与えてくれる
姫路随一のパワースポットなのです。

小川由晃ゆうこう住職に
龍神さまのご利益の授かり方について
善寿寺の目指すものについて
じっくりとお話を伺いました。

ロングインタビュー前編です。

※本編では、読者のみなさまにも小川住職の人柄を身近に感じていただけるよう、お檀家さんや信者さんから呼ばれている愛称そのままに、「由晃さん」と記載します。

龍神さまに見習う「ナンバー2」としての生き方

—― 3年越しの企画がついに実現しました。由晃さんはお忙しく、なかなかスケジュールが合いませんでしたが、今日こうやってお時間をいただき、本当に光栄です。ありがとうございます。

小川由晃住職(以下省略) 大変お待たせいたしました。こちらこそ貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。

—― 善寿寺のご本尊は、慈母観世音菩薩さま、いわゆる「観音さま」です。その他にも境内を見渡してみると、お地蔵さま、大黒天さま、弁財天さまなど、さまざまな神仏をお祀りされていますが、圧巻なのが龍神堂ですね。

ありがとうございます。善寿寺は、天正18年(1590年)から400年の歴史を持ちますが、このお寺を大きくされたのが、先代であり、私の師匠でもある第15世大原弘盟尼大和尚です。

—― 今でも、檀信徒のみなさんから「庵主さん」と慕われていますね。

はい。庵主さんが、昭和32年に小豆島の「弘法の滝」と呼ばれる場所から勧請してこられたのが、善寿寺の龍神信仰の始まりです。平成26年に老朽化した龍神堂の建て替えを発起し、令和2年に落慶を迎えさせていただきました。

—― お堂の中は、天井まで石が積み上げられ、さながら洞窟のようです。

善寿寺の龍神さまは、近畿最高峰「弥山」より降臨されたと由来があり、薄暗い洞窟内に潜む龍神さまをイメージした行場になっております。

善寿寺龍神堂。三方に岩石が積み上げられた圧巻の龍窟。

—― 龍神さまって、どんな神様なんですか?

それをひと言で伝えるのはとてもむずかしいですね。ただ、私が最も重要だなと思うポイントは「ナンバー2」であることです。

—― ナンバー2?

はい。『龍神祝詞』の冒頭にこう書いてあります。「大宇宙の根源の御祖の御使にして…」つまり、神仏の使いとしての働きが、龍神さまの役割ということです。

—― なるほど、”使い”なのですね。

善寿寺に勧請された時も、庵主さんは龍神さまから「汝の寺の鎮守とならん」という声を授かったそうです。つまりね、玉川さん。「自分を礼拝しなさい」と一切言わないのが龍神さまなんです。「善寿寺のご本尊はあくまで観音さまであり、その観音さまをお守りするのが、使いである私の務めです」と。この姿勢が、龍神さまの人気の理由じゃないでしょうか。

善寿寺本堂。内陣に祀られるご本尊・慈母観世音菩薩さま

—― 「使い」や「ナンバー2」としての役割が、どう龍神さまの人気に関わるのか、もう少し深く伺いたいです。

たとえば、会社の副社長、政治家の秘書、有名人のマネージャー、こうした補佐役の人がしっかりしているところは安泰な傾向にありますよね。善寿寺でも最も人気があるのは、ご本尊の観音さまよりも龍神さまですよ。お寺だって、住職よりも奥さんがしっかりしているところの方が安泰だったりします(笑)。

—― そうなのかも、しれませんね(笑)

こうした優秀なナンバー2の人たち、副社長、秘書、マネージャーといった名参謀や調整役に必要な能力が、「気遣い」です。

―― 気遣い。たしかにそうですね。

龍神さまを信仰されている人の多くは気遣いができますし、龍神さまを拝んでいると気遣いができてくるようになります。

善寿寺 小川由晃住職

中国に伝わる格言「心の中に龍を飼え」

—― 龍神さま自身が気の利く神仏の使いであるばかりか、その龍神さまを拝むことで、私たちの「気」そのものが養われるのですね?

そうです。これは、中国の信者さんから教わったことですが、中国では気の利かない人がいると「あの人は心に龍を飼っていない」と言うらしいですね。

—― へえ。それははじめて知りました。

中国では「気=龍」という考え方があるそうです。気づかない、気配りがない、気が利かない、気後れする……。こうした人たちはみんな心に龍を飼っていないんです。

—― 気を龍に見立てるのは、おもしろいですね。

抜群の気配りができる龍神さまにならって、中国の家では子どもたちに「龍使いになれ」「心の中に龍を飼え」と言うらしいですね。気遣いができると人に好かれ、それがよいご縁を生み、人生がいい方向に向かいます。

—― 龍神さまのご利益と言えば、「金運上昇」「仕事運上昇」「商売繁盛」などをよく目にしますが、その根っこで、人としての基本的な人生訓と、目に見えない神さまへの信仰がシンクロしているのを、とても興味深く感じます。

龍神堂での護摩供養後の法話。由晃さんのパワフルな法話目当ての参拝者も多い。

龍神さまは裏切らない

龍神さまのお力を信じて拝み続けると、必ずや願いを叶えて下さいます。決して裏切らないのも、龍神さまの人気の理由ではないでしょうか。その代わり、拝むこちら側も有言実行をしなくてはなりません。

—― ただの他力本願ではダメだということですか?

はい。誓いを実行に移す人こそ、龍神さまのご加護が得られます。

—― 龍神さまとの約束を、自らの行動で証明しないといけないのですね。

庵主さんからこんな話を聞きました。龍神さまを勧請されたばかりのある日、子宝に恵まれない夫婦が相談に来られたそうです。ふたりの話に耳を傾けたあと、庵主さんは「龍神堂のそばに、大昔から湧いている湧水がある。あんたらは仲がいい夫婦やさかいに、毎日ここまで散歩して、龍神さまにお参りして、この湧水を飲んでいきなさい」と伝えたそうです。夫婦は毎日それを実践しました。するとその7か月後に、赤ちゃんを授かることができたそうです。

いまも湧き続ける霊験あらたかな龍神水。龍神堂の入り口右手の龍像から汲むことができる。

—― すごいですね。でも「たまたまでは……?」と疑ってしまう自分もいます。

これはね、玉川さん。ただの奇跡や偶然ではないと私は思うんです。庵主さんが仰るには、散歩を続けて3、4カ月した頃から、ご主人に覇気みたいなものが生まれたそうです。信じる力、継続する力が、やる気、勇気、覇気を生み出し、人を変えていくのではないでしょうか。

—― なるほど。

そうやって人は人生を変えていける。運を開けていける。真面目にコツコツ、有言実行をする人を、龍神さまは見捨てませんね。

—― 龍神さまは、きっかけであり、守護神であり…。でも大切なのは、まずは自分自身が実践することなのですね。

はい。ちなみにこの話にはおもしろい後日談があります。無事に子宝に恵まれた夫婦は、庵主さんに子どもを見せにやって来て、お礼にと10万円を置いて行かれたそうです。

—― 当時の10万円ですから、相当な金額でしょうね。

庵主さんは「こんな大金はもらわれへん。どないしたらよいでしょうか」と龍神さまに訊ねたそうです。すると龍神さまが「この功徳をみなに分け与えよ」と言われたそうです。庵主さんは、10万円を千円札100枚に両替して、道行く人にこの夫婦の話をして、千円札を渡したそうです。

―― 本当ですか⁉

さすがに私もまだそんな器にはなれません(笑)スーパーのレジの方、タクシーの運転手、ことあるごとに「あんたもこの功徳を持っておき」と千円札を99枚配り、1枚だけを大切にしていたそうです。

松下幸之助も語る「運気」のつけ方

—― こうやってお話を聞いていると、中国の格言の「気=龍」という考え方が、とても腑に落ちます。

そうですね。松下幸之助さんも、勇気と元気とやる気を整えると、「運気」がつくと言ってますね。

—― 松下幸之助さんは、社員面接のときに「あなたは運がいいか?」と訊ねることで有名ですよね。

運のない人は勇気がない。でもね、私からすると勇気のない人は単に目の前のことを怖がっているだけなんです。なぜ怖いのか。それは「知らないから」「分からないから」です。

—― 知らない? 分からない?

はい。玉川さんは何度も善寿寺にお参りされているので、ここに来ることがこわくないですよね?

—― はい。今日は由晃さんの話をたっぷり聴けると、むしろワクワクしていました。

ところが、はじめてここにお参りに来られる方は、みんな恐る恐る境内に入って来られます。はじめてだから緊張するんです。ドキドキするんですね。

—― その感覚、よく分かります。

それはつまり、勉強不足、準備不足、知識不足が、勇気のなさの原因ということです。まずは情報収集すること。そして情報収集で一番いいのは、人に直接会って対話することです。情報をたくさん得ると、相手のことが分かり、怖くなくなります。この積み重ねが勇気を生んでくれます。

善寿寺にお参りしたことのない方は、まずは例祭や大祭からお参りするのがおススメ。年に一度の大祭となると、本堂内から境内にかけてあふれんばかりの人が詰めかける。

—― 「人に会う」というはじめの一歩、この行動、実践こそが大事なのですね。

そうです。龍神さまを信仰していると、行動力が身に付きます。その行動力が、知識を与えてくれて勇気を生む。それがやる気や元気となり、すばらしいご縁をつなぎ、運気が舞い込んできます。

—― しかも、「気=龍」ですもんね。龍神さまを拝むことでなぜ運気が開けるのか、その一端が分かった気がします。

あとね、玉川さん。もうひとつ大事なのは「素直さ」です。龍神さまの通力は「千見力」と「先見力」つまり、どんな物をも見通す力、どんな未来をも見通す力が龍神さまにはあります。

—― 嘘やごまかしは通用しない。龍神さまには「お見通し」なんですね。

はい。龍神さまは心の中を見透かします。自分に嘘をついたり、ごまかしてはなりません。龍神さまとのご縁が強い方は、素直な方が多い気がします。自我を見ていると言いますか、等身大の自分を知っておられます。

―― 自我は諍いの原因になりがちですもんね。自我を手放して、すべてを神仏にゆだねることが大切なのでしょうね。とってもむずかしいですが……。

そうですよね。苦しい時ほど、人は自我を超えて神仏に身をゆだねます。お参りに来ている方を見ていると、物事がうまく行かない時、心の底から跪いて涙を流したりする時にこそ、龍神さまとご縁をつなぐ方が多いように思います。

―― いまが苦しいと感じている人ほど、まずは善寿寺の龍神さまにお参りしてもらいたいですね。

はい、そうですね。

朝日を拝みなさい

—― ここまで龍神さまのお話を伺っていますと、素直な心を持つこと、龍神さまを信じ切ること、行動力を伴って貪欲に学ぶこと、そうすることで勇気が出てきて、これが運気の上昇につながる、という風に理解しました。

その通りです。

—― 「素心」という会社は「直な」と書くので、龍神信仰にピッタリな会社ですね(笑)

はい。必ずご加護があるはずです。

—― でも中には、素直さがない、龍神さまを信じ切れない、行動力や勇気が出ない、何をやってもうまくいかないという人もいるかと思います。そんな人は、まず何からしたらいいですか?

この記事を読んでいる時点で、龍神さまとご縁をつなごうとされている。まずはそれがすばらしいですね。

—― そうですね。ありがたい限りです。

庵主さんはよく「家に龍神さまがない人は、朝日を拝みなさい」と仰ってました。

—― 朝日?

そう。朝日です。昔から日の出の時間帯を「旦の刻」と呼んでいました。「旦」という字は地平線から太陽が出ている象形文字です。山からふっとお日様が出る時間に神社で柏手を打つと願い事が叶うと信じられています。

—― 縁起がよさそうですね。

とはいえ、決まった時間に神社に行けないという方が大半でしょう。なので、家の中に日の出の光が入ってきたその時に、朝日を拝むとよいです。手を合わせる姿勢は、それだけで謙虚さ、素直さを表わしています。

法要時に力強く手を合わせる由晃さん。

—― すがすがしい気持ちで一日をスタートできる、よい習慣になりそうですね。

日常の中で、自分に向き合う静寂な時間を持つことが大切です。手を合わせ、己を見つめ、そして神仏とつながることで、力をいただき、その人にあったご縁が舞い込んできます。家に神棚や仏壇がないという方、お寺や神社とご縁がないという方は、まずは太陽を拝んでもらいたいですね。

—― 太陽は、どんな人の上にも平等に昇りますもんね。

はい。神仏とつながる上で、もっとも身近に、すぐに始められる習慣だと思います。


インタビューの後編では、師匠である「庵主さん」のこと、由晃さん自身の出家のいきさつ、これからの善寿寺について語って頂きました。
後編『禅と密教が融けあう神域』はこちら


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取材・撮影・文 玉川 将人
画像協力 アイデックスデザイン株式会社

 

 

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