施餓鬼とは。お盆との関係、お寺の施餓鬼法要、お布施の相場を解説します
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こんにちは。素心加古川店の営業担当・粟生です。
夏が近づくと、お寺さまから「施餓鬼法要のご案内」という通知が届くことがありますよね。
「施餓鬼って何?」
「お盆のお参りとは何が違うの?」
「施餓鬼法要には必ず行かないといけない?」
「お布施はいくら包めばいいの?」
こんな疑問を、多くのお客様からよく耳にします。
普段あまり耳にしない「施餓鬼」という言葉に、どう対応したらよいか分からず不安になってしまう方も少なくないようです。
この記事では、施餓鬼の本来の意味やお盆との関係、お寺の法要へお参りする際のポイント、そして気になるお布施の相場まで、分かりやすく解説します。
目次
施餓鬼とは
施餓鬼とは、読んで字のごとく「餓鬼」に「施し」をする、という意味です。
もう少し分かりやすく説明すると、「餓鬼道に落ちてしまった亡者や無縁仏にも、食べ物や飲み物の施しをして供養をすること」と言えば分かりやすいでしょうか。
施餓鬼は、餓鬼や無縁仏を供養すること
施餓鬼とは、餓鬼道に落ちてしまった者に対する供養のことです。
仏教では、生前の行いによって、来世を生きる道が6つに分けられているとされていて、これを「六道輪廻」と呼びます。
●天道: 苦しみがなく、いちばん楽しみに満ちた天人の世界
●人間道: 私たちが今いる人間の世界。苦しみも楽しみもあります
●修羅道: 常に怒りに支配され、争いや戦いが絶えない世界
●畜生道: 動物の世界。弱肉強食で常に不安に怯えています
●餓鬼道: 物惜しみをした罰で、常に飢えと渇きに苦しむ世界
●地獄道: 最も罪深い者が落ちる、あらゆる苦痛を受ける残酷な世界
餓鬼道というのは、下から2番目の世界なのですね、なんとも苛酷…。
ポイントは、「常に餓えと渇きに苦しんでいる」ということ。そのことから、食べ物や飲み物をお供えするしきたりとして施餓鬼が生まれたのです。
日本のお盆には「2つの供養」がある
施餓鬼は主にお盆の時期に行われることが多いようです。(その由来はのちほどくわしく解説します)
そうすると、日本のお盆には「2つの供養」があることが分かります。
●先祖供養
→ わが家の両親、祖父母、ご先祖さまを供養する
●施餓鬼供養
→ わが家と関係があろうとなかろうと、等しく餓鬼たちを供養する
つまりお盆って、ご先祖さまだけでなく、餓鬼道に落ちてしまった亡者や無縁仏も含めて、あらゆる死者に意識を向けて、お供えをして、供養をしてあげようよという仏教イベントだということが分かります。
「自分の両親や先祖だけでOK!」「わが家だけでOK!」というわけじゃなくて、「どこのだれか分かりませんが、せめてお盆の期間だけでもみなみなさまの救いを願います」と、その願いを分け隔てなく差し向ける、とってもやさしい風習なのです。
お寺で行われる「施餓鬼会」
こうした想いから、「餓鬼への供養をみんなでしましょうよ」ということで毎年お寺で行われるのが「施餓鬼法要」です。略して「施餓鬼会(せがきえ)」などとも呼ばれます。
施餓鬼棚と呼ばれる専用の祭壇にたくさんのお供え物を並べて、多くのお坊さんが集まって盛大にお経をあげます。

播磨地方のとあるお寺の施餓鬼棚の一例。「三界万霊」「当寺檀信徒先祖代々」「殉国諸精霊」の位牌が並び、餓鬼の霊だけでなく、檀家のご先祖さまや、戦争で命を落とした殉教者をも一緒に供養しているのがうかがえます。

お供え物の祭壇には、夏野菜や乾物など餓鬼たちへの食べ物が並びます。奥の桶に盛られているのは、お経の一節が書かれた五色幡が立てられた白米。そして手前の桶には、水(左)と餓鬼飯(右)がお供えされています。
自宅では「餓鬼飯」
また、自宅でのお盆飾りにも施餓鬼の教えを取り入れます。
お盆の時に飾る精霊棚では、お仏壇や精霊棚の少し離れた足元などに「餓鬼飯」と呼ばれるお供え物を用意します。
これは、蓮の葉っぱ(最近では蓮の葉の形をしたお皿)の上に、ナスやキュウリを刻んだものと洗い米を混ぜたものをのせてお供えします。
ご先祖さまへのお供えと少し離れた場所に置くことで、ご先祖さまへのお供え物と餓鬼へのお供え物を分けていることが分かります。
お寺に足を運ぶだけでなく、わが家でも「お腹をすかせた餓鬼たちも、どうぞこれを食べてね」とお供えを分けてあげる。これこそが、おうちで行う小さなお施餓鬼の形なのです。

施餓鬼とお盆、それぞれのルーツ
「お盆」と「施餓鬼」は別の行事ですが、なぜお盆の時期に一緒に行われることが多いのでしょうか。
実は、どちらもお釈迦さまの偉大な弟子たちの伝説がルーツになっており、深い部分でつながっているのです。
お盆のルーツ:目連尊者の物語
お盆の由来となったのは、お釈迦さまの弟子の中で「神通力(超能力)」が一番すぐれていた目連尊者の物語です。
目連さんは、その力を使って、亡き母がどこにいるか探してみたところ、なんと母親は「餓鬼道」に落ちてガリガリに痩せ細り、苦しんでいました。
悲しんだ目連尊者はお釈迦さまに「どうすれば母を救えますか」と相談しました。
お釈迦さまは「7月15日に、夏の修行を終えた多くの僧侶たちにたくさんの食べ物を捧げて心から供養しなさい。そうすれば母親も救われるでしょう」と教えました。
その通りにしたことで母親は無事に救われた、というお話です。
この「7月15日にご先祖さまを供養する」という教えが、日本のお盆のルーツになったのです。
施餓鬼のルーツ:阿難尊者の物語
一方で、施餓鬼の由来となったのは、お釈迦さまの身の回りのお世話をしていた、一番のイケメンで聡明な弟子・阿難尊者の物語です。
ある日、阿難尊者が静かに坐禅を組んでいると、目の前に「焔口」という恐ろしい姿をした餓鬼が現れて、こう告げました。
「お前の命はあと3日で終わり、死後は餓鬼道に落ちる。それがイヤなら、明日、無数の餓鬼たちにたくさんの食べ物と飲み物を施しなさい」
そんな大量のお供えは到底用意できないと困り果てた阿難尊者はお釈迦さまに泣きつきました。
するとお釈迦さまは、少量の食べ物でも無限の施しに変えることができるお経を阿難尊者に授け、その通りに実践したところ、命は助かり、餓鬼たちも救われたというお話です。
似ているようでちょっと違うお盆と施餓鬼
施餓鬼法要をお盆の時期に行うお寺が多いことから、両者を同じものだと思い込んでいる人は少なくありません。
しかし、前にも述べたように、実際には「お盆=先祖供養」「施餓鬼=餓鬼供養」といった形で、意味が異なります。
お盆時期に施餓鬼を行うところが多いものの、施餓鬼を夏にしなければならない教えや決まりはなく、春や秋に実施するお寺もあります。
両方とも、「餓鬼を救う」という物語だからこそ、混同されがちになったのかもしれませんね。
お寺で営まれる施餓鬼法要
ここまで、施餓鬼について解説してきましたが、この章ではお寺の施餓鬼法要について具体的に解説いたします。
いつ、どんな目的で営まれるのか。法要に参列する際の服装やお布施についても参考にしてもらえたら嬉しいです。
開催時期はさまざま
「お盆の行事」として行われることの多い施餓鬼ですが、実はお寺によって開催される時期はバラバラです。
お盆の時期に行うお寺もあれば、夏ではなく、春や秋に施餓鬼法要を営むお寺もたくさんあります。
お寺の都合や地域のしきたりに合わせて日時が決まりますので、お寺から届く案内をしっかり確認しておきましょう。
檀家や信徒が集まってみんなで餓鬼を供養する
施餓鬼法要は、お寺の年中行事の中でも特に大きな法要のひとつです。
本堂には「施餓鬼壇(せがきだん)」という特別なお飾りが組まれ、五色の旗がなびき、山海の珍味や野菜、お米、お水などが山のように供えられます。
法要では、そのお寺のご住職だけでなく、近隣のお寺から何人ものお坊さんが集まってお経をあげます。
これだけ盛大に行うのは、「集まったみんなの力で、この世のあらゆる餓鬼たちを一人残らずお腹いっぱいにさせて救おう!」という強いエネルギーを込めているからなのかもしれませんね。
曹洞宗では「施食会」と呼ぶ
禅宗のひとつである曹洞宗では、施餓鬼のことを「施食会(せじきえ)」と呼びます。
「餓鬼」という言葉を使わず、「食べ物を施す会」とするのには理由があります。
曹洞宗では、餓鬼を恐ろしいお化けのようなものとして見るのではなく、「お腹をすかせて苦しんでいる、愛おしい仏子」として捉え、真心を込めてお食事を差し上げよう、というよりやさしい想いが込められているからなのです。
案内状に「施食会」と書かれていたら、施餓鬼法要と同じものだと思えば大丈夫です。
お布施の相場
お寺の施餓鬼法要に参加する際、多くの方が一番頭を悩ませるのが「お布施の金額」ですよね。
施餓鬼法要のお布施の相場は、数千円から数万円とお寺によって大きく異なります。
まずは、お寺さまに相談することをおすすめします。
のし袋の表書きは「御布施」または「施餓鬼料」、卒塔婆を立ててもらう場合は「卒塔婆料」と書いてお渡しするのがよいでしょう。
施餓鬼に関するよくある質問Q&A
それでは、記事の最後に、施餓鬼に関してよく寄せられる質問についてお答えいたしますね。
Q:お寺から施餓鬼法要の案内が来た。行かないとダメ?
強制ではありませんが、できる限りお参りするのが理想です。
施餓鬼法要はお寺の重要な年間行事ですので、ご都合がつくならぜひ本堂へ足を運び、一緒にお参りして功徳を積まれることをおすすめします。
普段なかなか足を踏み入れることのないお寺に行って、集まった人全員で祈って、お坊さんのありがたい話を聞く時間は、味わい深いものがありますよ。
どうしても都合がつかない場合は、お寺に連絡をひとつ入れて、お布施を事前にお届けするか郵送するという方法もあります。
Q:浄土真宗はお施餓鬼をしないの?
はい、浄土真宗ではお施餓鬼という行事はありません。
浄土真宗では「亡くなった方はみな、すぐに阿弥陀さまの導きで極楽浄土へ行って仏さまになる」と考えます。そのため、霊が途中で迷って餓鬼道に落ちるという世界観がないため、餓鬼を救うための「お施餓鬼」という行事自体が行われないのです。
おわりに
今回は、お盆の時期によく耳にする「施餓鬼」について解説してきました。
施餓鬼の本質は「苦しんでいるすべての霊に、等しくやさしさを分け与えよう」という仏教のあたたかい慈悲の心です。
誰かの幸せを願うそのやさしい気持ちは、巡り巡ってあなたの大切なご先祖さまへの最高の供養(功徳)になりますよ。
お寺から案内が届いた際は、できる範囲で構いませんので、このやさしい風習に参加してみてくださいね。
もしも施餓鬼について分からないことがあれば、いつでも素心の各店舗(加古川店・高砂店・姫路店)へお気軽にご相談ください。
素心加古川店の粟生でした。


