【宗派解説】天台宗とは|開祖・お経・ご本尊・祀り方などをプロの仏壇店が分かりやすく教えます!
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こんにちは! 仏壇・墓石・寺院仏具の素心(そしん)姫路店の藤原です。
いつもブログを読んでくださってありがとうございます!
「うちは天台宗って聞いたけど、どんな特徴があるの?」
「法要の前に、最低限知っておくべき作法ってあるかしら……」
お店に立っていると、そんなご不安を抱えたお客様によくお会いします。
仏教の宗派って、なんだかむずかしくて、どの宗派がどんな特徴があるかだなんて、分からないですよね。
でも、このたび天台宗について調べてみると、知れば知るほど興味深くて奥の深い宗派なんですよ!
今日は、プロの仏壇屋さんとして、天台宗について分かりやすく解説させていただきますね。
天台宗の歴史と開祖
まずは天台宗の歴史について、解説いたします。
「天台」とは中国の山の名前
そもそも天台宗の「天台」って何? と、思いませんでしたか?
これは、中国の浙江省に本当にある山の名前「天台山」からきているんです。
天台山で生まれた教えだから「天台宗」。こう覚えると分かりやすいですよね。

天台山はここ! 中国三大霊山の一つに数えられるそうです。
開祖は「天台大師 智顗」
名前の由来が中国にある山。ということは、当然天台宗は中国から始まったということです。
6世紀の中国・隋の時代(日本で言うと聖徳太子が生きた頃ですね)に、智顗(ちぎ)というお坊さんがこの天台山で修行をされていたそうです。
この智顗さん、なんでもすごいお方で……
●インドから中国にバラバラに伝わってきた膨大な経典を整理した(五時八教説)
●「人はだれでも仏になれる」という教えをまとめた(法華経)
●その教えを実践するための修行方法も確立した(摩訶止観)
……こういった功績を残された方なんだそうです。

天台大師 智顗(出典:Wikipedia)
日本に天台宗を広めた宗祖「伝教大師 最澄」
そして、この天台宗の教えを日本に伝えたのが、私たちも日本史で必ず学ぶ「伝教大師 最澄」ですね。
最澄さんの生涯を調べて分かったのは「真面目でストイック、そしてすべての人が救われる道を切り開いた改革者」ということです。
最澄さんは、次のようなことを成し遂げられました。
●比叡山延暦寺の創建
19歳の若さで比叡山に登り、厳しい修行を始めました。これが後に日本仏教の母山(多くの高僧を輩出する山)となる延暦寺の始まりとなるんです。
●「すべての人が仏になれる」と説いた
当時の仏教界(奈良仏教)では「悟りを開ける人は限られている」と考えられていました。しかし、最澄さんは『法華経』の教えに基づき、「どんな人でも、修行をすれば仏になれる(悉有仏性:しつうぶっしょう)」と強く主張したのだそうです。
●日本独自の「大乗戒壇」の設立に尽力
当時の僧侶になるためのルール(戒律)はとっても複雑だったのですが、最澄さんは、もっとシンプルな戒律で僧侶を育成しようとしました。そのおかげもあって、比叡山からは、のちの日本仏教を大きく発展させるたくさんのお坊さんが生まれます。
●日本で初の大師号
「大師」とは、天皇から高僧に贈られる称号のことですが、日本初の大師号は、なんと最澄さんに贈られた「伝教大師」なのです。
ここまでをまとめると、最澄さんが一番大切にしたのは、「みんなが仏さまになれる」という考え方でした。
「自分だけが救われればいい」ではなく、「みんなで幸せになろうよ!」という最澄さんのやさしさが、今の天台宗の、そして日本に伝わる大乗仏教のベースになっているんですね。

伝教大師 最澄(出典:Wikipedia)
天台宗の教え
天台宗は、どのような教えを説いているのでしょうか。
わたしのような仏壇屋さんが教えについてお話しするのはおこがましいですが、お調べしたことをみなさんにもシェアいたしますね。
日本仏教の総合大学(法華経・禅・念仏・密教)
天台宗の最大の特徴は、その「幅の広さ」です!
仏教って、いろいろな流派がありますが、それらをぜんぶ取り込んでいるのが、天台宗スタイルと言えます。
特に代表的なものとして……
●法華経(すべての仏になれるという教え)
●密教(お加持や祈祷)
●禅(坐禅で心をおさめる)
●念仏(南無阿弥陀仏と唱える)
……があり、これら全部を「どれも大切だよね」とまとめて学べるスタイルのようですよ。
そのことから、天台宗の本山である比叡山延暦寺は、全学部が揃った「日本仏教の総合大学」みたいだと言われ続けています。
比叡山は日本仏教の母山
だからこそ、比叡山延暦寺は「日本仏教の母山(ぼさん)」とも呼ばれます。
比叡山という「総合大学」で学んだ多くのお坊さんたちの中には、それぞれが「これぞ!」と信じる教えを胸に山を下り、迷える人々のもとへ駆けつけ、新たな宗派を開いていった人もいます。
●念仏の教えを強調した人
法然(浄土宗の開祖)、親鸞(浄土真宗の開祖)など
●禅の教えを広めた人
栄西(臨済宗の開祖)、道元(曹洞宗の開祖)など
●法華経の教えを広めた人
日蓮(日蓮宗の開祖)など
いまでも続くこうした宗派のすべてが比叡山から始まったとすると、「母山」と呼ばれるのもうなづけますね。

比叡山延暦寺にある「戒壇院」。ここから多くの僧侶が輩出されます。
天台宗でよく読まれるお経
天台宗でよく読まれているお経と言えば、やっぱり『法華経』ではないでしょうか。
「人は誰がも仏になれる」と説かれた、日本仏教のベースとなるようなお経です。
全部で28章ある中でも、特に……
●方便品第二
すべての人が仏になれるという教えの入り口
●如来寿量品第十六
お釈迦様の命は永遠であることを説いた、法華経の核心部分
●観世音菩薩普門品第二十五
観音様が人々を救う力を説いたお経(通称「観音経」)
……などが読まれています。
『法華経』以外にも、『阿弥陀経』や『般若心経』なども読まれていますよ。
天台宗の仏壇・仏具
さて、ここからは、私たちが得意な「お仏壇」の実践編です!
ご本尊は特定されない
天台宗のおもしろいところは、ご本尊(真ん中の仏さま)が「この方じゃないとダメ!」と決まっていないこと。
これは、先ほどお伝えした通り、天台宗がいろんな流派、いろんな修行を実践しているからです。
●お念仏や極楽往生を大事にするお寺は「阿弥陀如来」
●法華経で説かれるお釈迦さまを大事にするお寺は「釈迦如来」
●観音信仰が厚いお寺は「観世音菩薩」
……といった具合に、お寺で祀られる仏さまもさまざまです。
仏壇の場合に多いのは阿弥陀如来さまや釈迦如来さまです。

天台宗の本尊。左から「伝教大師 最澄」「阿弥陀如来」「天台大師 智顗」。市販のご本尊は、阿弥陀如来のものが多い印象です。
両脇には天台大師と伝教大師
ご本尊はお三方が並ぶのが基本です。序列は真ん中、右、左の順。
天台宗の場合は、右側に天台宗の開祖である天台大師(智顗さん)、左側には伝教大師(最澄さん)をお祀りします。

御本尊を絵像(掛軸)ではなく仏像で安置することも可能です。ここでは中央に釈迦如来さまをお祀りしています。
おうちのご本尊をどの仏さまにしたらいいか分からない場合、お寺に直接聞いてみるか、素心に相談してみてくださいね。
天台宗の位牌・戒名
天台宗のお仏壇には、故人さまやご先祖さまを表す位牌をお祀りします。
位牌の表面には戒名を彫刻しますが、天台宗の場合、戒名の上に大日如来を表す梵字の「ア」を刻みます。
※戒名原稿を挿入予定
天台宗の数珠
天台宗のお念珠は、形がちょっと個性的!
主珠が、そろばんの玉のような「平玉」なのが特徴です。指で繰りやすくて、手になじむ形なんですよ。
ただし、お坊さんや熱心な檀家さんでない限り、一般的な略式数珠でも問題ありません。

天台宗の正式な数珠の形。主玉が平たい「平玉」なのが特徴です。
お線香や焼香の数
お線香の本数やお焼香の数に決まりはありませんが、迷った時には3本、または3回にしておくとよいそうですよ。
ここには、三宝「仏・法・僧」に清らかな香りをお供えするという意味があるそうです。
おわりに
天台宗のお話、いかがでしたか?
最澄さんのことばに、「一隅を照らす」という教えがあります。
この広い世界の中で、まずは私が今立っているこの場所を光で満たす。それをひとりひとりが自分が今いる場所を照らすことで、結果として世界全体が明るくなる……そんな、前向きなすばらしい教えです。
私も、素心に足を運んで下さるお客様を照らせるように、がんばってまいります。
最後に…
「天台宗についてもっと深く知りたい!」という方は、素心のWEBメディア『こころね』の中で配信されている「お坊さんに訊く宗派シリーズ」もおすすめですよ。
▶お坊さんに訊く天台宗【教え・歴史編】
1200年続く最澄と比叡山の魅力~ 正明寺・小林恵俊さん
▶お坊さんに訊く天台宗【仏事・仏具編】
ご本尊、お位牌、お焼香から法事で用意すべきものまで~ 正明寺・小林恵俊さん

TikTokで13万人以上のフォロワーを持つ天台宗・正明寺(姫路市)の小林恵俊住職が、分かりやすく解説して下さっていますよ。サメくんもかわいい!
それでは、また次回のブログでお会いしましょうね。
素心姫路店の藤原でした!


