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讃岐よいとこ一度はおいで。善通寺参りのおすすめスポットをご紹介!
四国霊場75番札所
総本山善通寺は
弘法大師空海が
お生まれになった聖地です。
お寺へのお参りは
もちろんですが
旅の思い出はやっぱり
おみやげ、ごはん
そしてお宿!
善通寺管長猊下インタビューの
スピンオフ記事。
『こころね』が始まって以来、
はじめての「旅レポ」です。
善通寺参りの
おすすめスポットを
こころを込めて
ご紹介いたします!
管長猊下直々に境内をご案内
菅管長猊下の取材を無事に終えて安堵していたこころね取材班。緊張感から解放された私たちに猊下からの「善通寺の境内をご案内しましょう」となんともありがたいお言葉。境内を一緒に散策しました。
全国の大寺院が参集。毎日日替わりの記念大法会
取材に訪れた時期は弘法大師御誕生1250年記念大法会の真っ最中。令和5年4月23日から6月15日まで、真言宗各派の本山寺院や各宗派の大寺院や団体が善通寺に参集して、お大師さまが祀られる御影堂で法要を執り行いました。
54日間で行われる法要の数はなんと65座。毎日日替わりで各団体が日本各地から善通寺に集まり、お大師様の御誕生をお祝いしたのです。
取材日である5月29日の午後は、なんと神戸市の大本山須磨寺による法要。実は、菅猊下とのご縁をつないで下さったのも須磨寺さま。偶然に驚き、仏縁に感謝です!
【熊岡菓子店】石のように堅い!歯が折れそうな「カタパン」
境内を少し飛び出し、菅猊下に連れてきていただいたのは、「カタパン」の暖簾の下がる熊岡菓子店。明治29年の創業から127年も続く老舗店です。
えびせん、芋けんぴ、バターケーキなど、さまざまなお菓子が並ぶ名店ですが、やはり一番の名物は「カタパン」です。
熊岡菓子店の「カタパン」はとにかく固いことで有名です。もともと軍都として栄えた善通寺市。戦前は旧陸軍の駐屯地があり、カタパンは日本軍からの依頼で、兵隊さんたちの常備食・非常食として作られました。
その特徴は「軽い」「日持ち」「腹持ち」。いまでは善通寺参りの名物として、お参りの方は必ずここに立ち寄ってお土産として購入するのだとか。
実食してみると、味は、全体にまぶされた砂糖の甘さとショウガの風味の絡みが絶妙なのですが、「バリバリ~」「ボキボキ~」と歯が折れてしまいそうなほどの堅さ。
それでも無理やりかみ砕くのですが、何個か食べていくうちにそのコツを掴みました。
はじめは、キャンディーを堪能するかのように口の中で転がして、少し柔らかくなったところでかみ砕くのがベスト(それでも十分硬い)。
砂糖とショウガの甘みから栄養分が取れ、何度も何度もかみ砕くので腹持ちもよし。たしかに軍人さんの常備食には最適かもしれません。
丸亀市からやって来たという北浦弥生さんは、「善通寺さんにお参りしたら必ずここに立ち寄るのよ~」と、笑顔でカタパンを購入されていきました。
長年、地元の人やお遍路さんに愛され続けてきたカタパン。お土産にすることで、
「なんやねんこれ、めちゃ硬いやん」
「こりゃー歯が折れる硬さばい」
…などと、お土産話が盛り上がること間違いなしです!
熊岡菓子店
香川県善通寺市善通寺町3-4-11
TEL:0877-62-2644
営業時間 :9:00~16:00
定休日 : 火曜日(祝日の場合は営業)・第3水曜日
【宮川製麺所】完全セルフの地元民行きつけの讃岐うどん
カタパンでおなかの膨れたこころね取材班。それでも香川県に来たからには食しておかなければならないのが讃岐うどん。
善通寺市内にもたくさんのうどん屋さんがある中で、猊下におすすめのうどん屋さんをお訊ねしたところ、悩みに悩んだ末に教えていただいたのが宮川製麺所。まさに、地元の人から熱狂的に愛されつつ、お遍路や観光の方にも人気のお店なんだそうです。
当店の特徴は、製麺所直営のうどん店であること。店内に入った途端に広がるいりこ出汁の香り。そして完全セルフシステム。お箸と器を取り、麺を入れてもらったあとの湯煎、丸窯の中の出汁もすべてがセルフサービスです。
うどんは小(1玉入り)でなんと210円。しかも自己申告の後払い制。性善説に立って営まれていることに驚きます。生活に密接した讃岐の食文化に触れて、なかば興奮気味のこころね取材班です。
いりこ出汁の香りと風味。コシがあるのに適度にやわらかいお見事な食感。そして地元の人の生活の中に溶け込んで愛され続けたであろう飾り気のない店内。善通寺にお参りの際はぜひとも本場の讃岐うどんを味わってみてください。
宮川製麺所
香川県善通寺市中村町1丁目1-20
0877-62-1229
営業時間:8:00~18:00(玉が売り切れ次第終了)
定休日 : 日曜日(正月3が日は休業)
インスタグラムはこちらから!
【遍路民宿 鶴吉】大将のあたたかい人柄に触れられる遍路宿
善通寺にお参りに来たからには、善通寺の宿坊「いろは会館」がおすすめです。四季折々の地元の食材を使用した食事、大浴場「大師の里湯温泉」に加えて、早朝の勤行にお参りできるのも魅力です。
こころね取材班も宿泊を申し込みましたが、あいにく大法要の参集者で満室。
しかし、せっかく善通寺に来たのだから、ビジネスホテルなんかじゃなくて遍路宿に泊まってみようじゃないか。
ということでGoogle検索でひっかかったのが、「遍路民宿 鶴吉」。なんとGoogleのクチコミ4.9という驚異的な評価を叩き出しています。
大将の大浦健さん。大ファンのプロレスラー・武藤敬司さんに似ていることから、「プロレスLOVEポーズ」で撮影に応じて下さいました。
自家栽培野菜と、地元の食材をふんだんに使った大浦さんの手料理。自らDIYで作り上げたお手製の露天風呂。そして何より筆者が驚いたのが、ぴかぴかに磨き上げられた廊下。毎日料理や掃除に一生懸命に取り組んでいます。
関西地方で長年お仕事をしていた大浦さん。60歳を迎えて故郷の善通寺に戻るものの、実家を処分すべきか、遍路宿にすべきか迷いながら歩き遍路の旅へ。徳島県を歩き終わる頃には「遍路宿しよう!」と決断されたそうです。
平日は会社勤めだった大浦さん。土日にDIYによるリノベーションと四国遍路を交互に続け、4年かけて無事に結願。その翌月に会社を辞め、遍路民宿鶴吉をオープンさせます。
「やりがいはひとつ。いろんなお遍路さんとお話できることです」と大浦さん。「料理はめんどくさいけどね、おいしいと言われたら作らないとしょうがない」とおどけるものの、合間の時間に畑で野菜を作り、同級生の漁船に乗って魚の調達にも出向きます。
遍路民宿 鶴吉
香川県善通寺市弘田町999-1
080-2514-4854
WEBサイトはこちらから!
四国にはこのような遍路民宿がたくさんあります。お遍路に来たからには、ぜひとも遍路宿に泊まってみることをおすすめします。
そして、善通寺にお参りの際は、熊岡菓子店でお土産を買って、宮川製麺所で讃岐うどんを食べて、大浦さんの営む遍路民宿鶴吉を利用してみて、素敵な人柄、あたたかさに触れてみてください。
讃岐よいとこ一度はおいで。この記事を参考に、あなたのお遍路の旅がすてきなものになることをお祈りいたします。
合掌。南無大師遍照金剛。
取材・構成・文 玉川将人
撮影 粟生密有