TOP記事一覧>記事

Article読み物

2021.07.06

お仏壇やご先祖さまが自然に溶け込んでいる暮らし【お客様インタビュー・橘陽子さま】

お仏壇やご先祖さまが自然に溶け込んでいる暮らし【お客様インタビュー・橘陽子さま】

素心がお仏具のお手伝いをさせていただいた
お客様へのインタビュー。
加古川市の橘陽子さんは
小さい時から家にお仏壇があり、
ご先祖さまに手を合わすのは
とても自然な感覚だと話します。

そのことばのはしばしから
お仏壇のある暮らしや
ご先祖さまとともにあることによる
温かみが、感じられました。

仏間がきれいになって、心がスッキリしました

「仏間がきれいになって、心がスッキリしました」

ほがらかな笑顔で話すのは、素心加古川店のほど近くにお住いの橘陽子さんです。平成25年に、昔ながらの旧家特有の薄暗い仏間をきれいに改装しました。

「江戸時代から続く家でした。壁も黒の漆喰、仏壇の中の電気も暗い。壁の色や障子や襖を新しくして、同じタイミングで仏壇の中もきれいにしようと、素心さんに伺いました」

古く汚れてしまった金襴の敷物を片手に素心を訪れた橘さん。店頭で対応した加古川店の廣野はすぐにさまざまな色柄の金襴の反物を広げ、仏間の寸法も測りに自宅まで足を運びました。

「仏壇の壁をきれいにすると、仏像の傷みも気になりました。そこで廣野さんに相談したら、天台宗のご本尊である阿弥陀如来さまを勧めていただき、新たにお迎えしました。これまでわが家を守ってくださっていた仏像もきちんと供養して下さったので、ご先祖さまたちもきっと心を落ち着かせたことでしょう。私もご先祖様の気持ちを受け継ぎ、阿弥陀如来さまに手を合わせ、心穏やかになりたい思います」

そのほかにも、灯りのない仏間の中に灯篭を設置。天井から吊るされる灯篭の中でやわらかいだいだい色の光がほのかに灯りました。金襴の打敷(お仏壇を彩る金襴の敷物)もきれいになり、仏間全体が明るい空間になることにより、より満足に手を合わすことができるようになったと話します。

橘さんのご両親は、平成25年にお父さまが、昨年(令和2年)にはお母さまがお亡くなりになり、ともにお仏壇の中でご先祖さまの仲間入りをされました。

「父は90歳。母は92歳。大往生ですよね」と橘さん。ご両親が入られたからといって、特にお仏壇との向き合い方に変化はありません。橘家の古い過去帳には「文化」の年号も見られるほどの旧家。江戸時代から続く家で育った橘さんにとって、仏壇がある暮らし、ご先祖さまに手を合わす習慣はごく自然のことでした。

「困ったことがあった時にはお願いごとをしてます(笑)こちらの話を聞いてもらう感じですね」と、暮らしの中に亡きご両親やご先祖さまが自然に溶け込んでいるようです。

作りつけのお仏壇。床の間には亡きお母さまの遺影と、ヒオウギの生け花。

華道の始まりは仏花

さて、生け花の先生でもある橘さん。「華道は僧侶が仏花を立てるところから始まった」のだと、仏教とお花の関わりについて教えてくれました。

また、花に触れることは私たちの心にも、そして子どもたちの情操教育にも良いのだとか。「お花は丁寧に扱わないといけませんし、剣山や、はさみの扱いもそうですし、片付けも大切。準備、実技、片付けまでがお稽古の一環です」

ご先祖さまへのお供えのお花を自分の手で活ける。橘さんの話を聞いていると、大切な人に対して手間暇かける時間こそが贅沢なのかもしれないと思えてきます。

最後に素心へのお褒めの言葉も。

「お仏壇をお世話になったあとも、お墓のことやお盆飾りのことで廣野さんにはお世話になってますし、お線香などの小間物を買いに野口の素心(加古川店)さんにも行ってます。みなさん心地のいい距離感で接客して下さって、とてもすてきなお店だと思います。いつもいろいろな催し物もされているので、コロナが落ち着いたらぜひとも生け花教室をさせてもらいたいですね(笑)

亡き人やご先祖さまとともにいることが自然にある日常。江戸時代から長く続く家だからこそのあたたかみを感じられるインタビュー取材でした。


【2021年度 陵南公民館「親子いけばな教室」新規生徒募集中】
橘さんが講師を務める「親子いけばな教室」は、文化庁の委託を受けた地域活性化事業です。2021年7月から2022年1月までの7か月間で11回の連続教室です。3歳の子から高校3年生まで、親御さんとともに参加できます。初回の教室は2021年7月11日。興味のある方は加古川市の陵南公民館へお問い合わせください。

▶お問い合わせは陵南公民館へ 079-456-7110


構成・文 玉川将人
撮影 西内一志

 

 

一覧へ