下書き

位牌の文字入れの基礎知識|宗派別・彫刻と手書き・色と配置・1人彫りと2人彫りなど

|

「お位牌に刻む文字って、誰がどうやって入れるの?」
「文字の色や彫り方に決まりはある?」
「夫婦で一つのお位牌にしたいけれど、どう頼めばいい?」

こんにちは。仏壇墓石の素心(そしん)高砂店の北島です。

今回のテーマは、お位牌を作ることになった際、多くの方が疑問に思う「位牌の文字入れ」についてです。

お位牌なんて、普段触れることがないでしょうから、何をどうすればいいのか分かりませんよね。

この記事では、お位牌の文字入れに関する基本的なルール、費用、注意点などについて、はじめての方にも分かりやすく解説いたしますね。

位牌とは

まずはじめに、そもそもお位牌とは何なのか、基本的な部分をおさらいしておきましょう。

位牌は故人さまそのもの

お位牌とは、故人さまの魂が宿る「依代(よりしろ)」となる大切な木札のことです。

古くから日本では、お位牌は「故人さまやご先祖さまそのもの」と考えられてきました。

目には見えなくなってしまった大切な方の存在を、目に見える形でお祀りし、日々の生活の中で向かい合うための場所、それがお位牌です。

私たちは朝夕にお位牌へ向かって手を合わせ、その日あったことを報告したり、感謝を伝えたりしながら、亡き人と心の中で会話を重ねています。

四十九日法要までに本位牌を用意する

葬儀を終えたご家族は、四十九日法要までに「本位牌」をご用意いただくのが基本です。四十九日法要の際にお寺さまから「お性根入れ(魂入れ)」をしていただくことで、本位牌は正式な供養の対象となります。

※素心のある播州の一部地域では、「一周忌まで」あるいは「初盆を終えたあとのお彼岸まで」に用意するところもあります。

そして、そのお位牌に故人さまの名前や戒名を刻む「文字入れ」こそが、今回のテーマとなります。

位牌に彫刻する文字の基本

お位牌の表や裏には、故人さまの「戒名」「俗名」「命日」「年齢」の4つの情報を彫刻(または記入)します。

まずは、それぞれが何を意味しているのかを見ていきましょう。

戒名(住職から授かる故人さまの名前)

お寺さまから授かる「仏さまの弟子としての名前」です。宗派によっては「法号(ほうごう)」と呼ぶこともあります。

位牌の表側に大きく刻まれるのが一般的で、文字の頭に宗派ごとの梵字や冠字(「空」「妙法」など)が入る場合もあります。

俗名(生前の名前)

「俗名(ぞくみょう)」とは、故人さまが生前使われていた名前のことです。主に位牌の裏面に刻まれます。

命日(亡くなった日)

故人さまが亡くなられた日を彫刻します。 亡くなった日付のうしろに「寂」「亡」「没」などの1字が入ることもあります。

年齢(数え年が基本)

亡くなられた際の年齢ですが、 伝統的に数え年で表記します。

数え年とは、生まれた年を1歳とし、お正月を迎えるたびに歳を重ねる数え方です。満年齢に1歳ないし2歳加えた年齢となります。

また、年齢の上に「享年」や「行年」と刻むこともあります。

宗派別の文字入れの一例

それでは、具体的にどのような文字が入るのか。宗派別の一例をご紹介します。

天台宗・真言宗

画像は、天台宗や真言宗の彫刻文字の一例です。

戒名の頭に、大日如来を表す梵字の「ア」が付くのがポイントです。

浄土宗

画像は、浄土宗の彫刻文字の一例です。

戒名の頭に阿弥陀如来さまを表す「キリーク」が付くのがポイントです。

また、「譽」の文字が入ることがあります。

曹洞宗

画像は、曹洞宗の彫刻文字の一例です。

戒名の頭に「空」が付くのがポイントです。

臨済宗

画像は、臨済宗の彫刻文字の一例です。

冠字・梵字・位号などがつかないのが特徴です。

日蓮宗

画像は、日蓮宗の彫刻文字の一例です。

戒名の頭に「妙法」が付くのがポイントです。

また、男性には「日」、女性には「妙」の文字が入ります。

(※補足)

宗派別による文字入れについて解説しましたが、ここに挙げたのはあくまで一例です。ご寺院さまのご意向や、地域の風習によりこればかりではありません。

実際に素心のお客様でも、浄土宗なのに「ア」字を入れる、曹洞宗の冠字に「〇」(円相)を入れる、お寺の意向により「位」号は不要など、戒名の文字入れにはさまざまなケースがあります。

位牌の文字入れはどこがしてくれる?

お位牌の文字入れは、仏壇店に依頼しましょう。

素心では自社工房にて位牌の文字彫刻を行っています。

お寺さまからいただいた「戒名授与の紙」や、お葬式で使用した「仮位牌(白木位牌)」の写真や控えをお持ちいただければ、素心の専門スタッフが正確に文字を入れをいたします。

中には、「文字入れはお寺さまにお願いするのかな?」と思われる方もおられますが、お寺さまの役割は、戒名を授け、完成したお位牌に魂を入れる(お性根入れ)ことです。

物理的な文字入れ作業は、私たち仏壇店が行います。

※堀内さんの彫刻作業の画像

「彫り」と「書き」の違いは?

文字入れの手法には「彫り文字(彫刻)」と「書き文字(手書き)」の2種類があります。

彫り文字(彫刻)は、道具や機械を使って木地に文字を彫り込み、その凹みに金箔や塗料を埋め込んで、色付けをする手法です。

文字がくっきりと立体的に仕上がり、年月が経っても消えにくいのが特徴です。

現代では全体の9割以上の方がこの「彫り」を選ばれます。

一方、書き文字は、 職人が筆と漆を用いて手描きで文字を入れる伝統的な手法です。

手書きならではの味わいやぬくもりがありますが、職人によって書体が変わる、長年経つと擦れて文字が薄くなる、手書きの職人自体が少なくなっているなどの理由から、現代では機械による彫刻が主流です。

位牌の文字の色について

お位牌に刻む文字の色には、基本的なルールがあります。

ここでご紹介するのは、あくまで素心のある兵庫県西部・播磨地域の風習に基づいたものとなります。

地域ごとの風習が気になる方は、お寺さまや、お近くの仏壇店に確認してみてくださいね。

表面の「戒名」

金文字で入れるのが基本です。

ただし、位牌全面を金箔押しで仕上げた「総金(そうきん)位牌」の場合は、文字が見えやすいように青色を入れるのが一般的です。

※文字の画像

裏面の「俗名・命日・年齢」

裏面の各情報には、白色を入れてはっきりと読みやすく仕上げます。

※文字の画像

生前戒名(ご本人がご健在の場合)

生前に戒名を授かられている場合は、戒名の2文字の部分に朱色(赤色)を入れます。

これは「ご本人がまだ健在である」ことを意味しています。

※文字の色についても地域性やお寺さまのお考えによって異なる場合があります。

※朱入れの画像

1人彫りと2人彫りはどちらがいい?

お位牌への文字の刻み方には、「1人彫り」と、ご夫婦のお名前を並べて刻む「2人彫り(夫婦彫り)」があります。

1人彫りの場合は、故人さまの戒名を中央に彫刻しますが、2人彫りでは、 ご夫婦の戒名を左右に並べて彫刻します。新しくお位牌を作る際は、お亡くなりになった方の戒名を片側に寄せて彫刻し、もう一方のスペースを空けておきます。

2人彫りには、「夫婦仲良くひとつのお位牌に納まる」「お仏壇の中の省スペースにもなる」「将来的に新しく位牌を買わずに済む」という大きなメリットがあります。

どちらが良い・悪いということはありませんので、ご家族のお気持ちやご都合に合わせてお選びください。

左が1人彫り。位牌の中央に戒名を入れます。
右が2人彫り。左右のいずれかを空けておきます。

追加彫りの時は必ずお性根抜きをしてもらう

2人彫りの夫婦位牌に追加で文字入れをする場合、とても重要な注意点があります。

それは、仏壇店へお位牌を預ける前に、必ずお寺さまに「お性根抜き(魂抜き・閉眼供養)」をしていただくということです。

魂が宿っているお位牌にそのまま刃物を入れて彫刻することは、故人さまに大変失礼にあたります。

一度魂を抜いて「ただの木札」の状態に戻してからお店へお持ちください。

文字入れが完成してお位牌が手元に戻ってきたら、改めてお寺さまに「お性根入れ(魂入れ)」をしていただきます。

位牌の文字入れにかかる費用

文字入れにかかる費用の相場は以下の通りです。

●新規でのお位牌づくり(1柱分)
→3,000円〜5,000円前後
※別途お位牌本体の費用がかかります

●追加彫り(すでに夫婦位牌があり、追加で文字入れする場合)
→5,000円〜10,000円前後

なお、素心の文字彫刻に関する費用は以下の通りです。

※特殊な文字彫刻や色入れの場合、別途費用を頂戴することがあります。
※価格は2026年9月時点のものです。

おわりに

お位牌の文字入れは、ご先祖さまや故人さまのお名前を形として遺す、とても大切な作業です。

お位牌の文字入れに関するご相談やご用命は、どうぞお気軽に素心各店(姫路店・高砂店・加古川店)へご相談ください。

お写真やメモをお持ちいただければ、スタッフが丁寧にご確認し、間違いのないよう文字入れのお手伝いをさせていただきます。

ここまで、素心高砂店の北島がお伝えいたしました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

出演:北島崇史(素心高砂店)
執筆:玉川将人(素心メディア事業部)